日野郡の3医療機関、ICT活用 効率化で医師不足補う

 ICT(情報通信技術)を活用した医療サービス「スマートヘルスケア」について、鳥取県日野郡3町(日南、日野、江府)の3医療機関が連携し、導入の検討に入った。高齢化に伴う医療ニーズの高まりや医師不足を背景に、最新テクノロジーを使って効率化を図り、安定的な地域医療サービス提供につなげる。スマートフォンやパソコンを使ったオンライン診察、人工知能(AI)による診断支援などが可能になる。

 知事と3町長で構成する県日野郡連携会議が29日に江府町で開いた会合で、公立日野病院(日野町野田)の孝田雅彦病院長が説明。4者は県地域医療構想に盛り込む方向で合意した。2021年度から基盤整備に向けて準備に入り、25年度前後の運用開始を目指す。

 スマートヘルスケアは、AIやIoT(モノのインターネット)など最新技術を活用して医療現場の課題を解決し、誰もがより良い医療を享受できるようにする次世代の医療サービス形態。クラウドで管理された医療情報を基に、AIによる診断支援、画像解析、遠隔地治療サービス、オンライン診察が可能になる。

 構想によると、新たな医療サービスは日野病院、日南町立日南病院(日南町生山)、江尾診療所(江府町江尾)が連携して提供する。具体的には県が整備を急ぐ第5世代移動通信システム(5G)でネットワーク化し、電子カルテやレセプト(診療報酬明細書)システムの共有、遠隔医療システムを構築。AI診断導入も視野に入れ、医療レベル格差の解消につなげる。

 鳥取大医学部付属病院(米子市西町)とは既存の医療情報ネットワークを通じて連携を強化し、郡内の高齢者福祉施設ともネットでつなぎ遠隔診療を行う。

 日野郡では総合診療科や小児科、整形外科の医師不足に加え、高齢世帯の増加に伴う通院困難への対応など課題が山積。人口減少に伴う病院経営環境も厳しくなり、高額な医療機器や専門医、検査技師の共有化と役割分担が迫られている。

 孝田病院長は「ICTを活用し地域住民が安心して暮らせる医療環境を整えたい」と話している。

2021年3月31日 無断転載禁止