世事抄録 続・凡人記

 今年2月、喜寿を迎えた。朝、定期健診に行こうとしたら、前夜からの降雪で車に積もった雪を下ろし、窓の霜を溶かそうと蛇口をひねったら水道管が凍っている。風呂の残り湯をくみに家とガレージをモタモタ5往復。予約時間が迫る。

 冷え切った車内で検尿に備えてペットボトルの水を飲みながら雪道を病院へ。出がけのつまずきから、検診結果に不安が募る。カーステレオから流れるモーツァルトの交響曲40番が拍車をかける。結果まで散々待たされたが、結果は良好で安堵。

 スーパーに寄り、自らステイホームの喜寿祝いの買い物をする。いつもより高い品を選ぶ。家に戻るとすぐ、蛍光黄緑のベストを着けて近所の交差点で児童の見守り当番。風雪に凍えながら「お帰り」の声をかける。帰宅後、風呂で温まり、すしとビールで妻と2人しみじみ祝う。

 古希の年、当欄執筆陣に加えていただいた。当時、タイトル「凡人記」で「喜寿までまだ時間がある。自問しつつ歩けば凡人なりの人生観が見えるはず」とつづったが、何も見えていない。とは言え、この節目を忙しく過ごす体力と文章を書ける程度の思考力が残っているので、御の字である。

 当欄で度々触れた義母は1月、102歳と2日で、望み通り自宅で逝去した。立派に人生の節目を通過してきたことに驚嘆する。とりあえず心身ともに健全な米寿をめざしたい。それにしても慌ただしい喜寿初日であった。

(浜田市・清造)

2021年3月25日 無断転載禁止