「初めてのお買い物」イベント好評 松江市のNPO

ドン券バザーで、選んだおもちゃを買う幼児
 未就学児や小学生が買い物を体験するイベントが40年近く前から毎年、島根県松江市内で開かれ、子どもの自主性を育んでいる。フリーマーケット形式で掘り出し物を探し、店員に声を掛ける体験は子どもには冒険。周囲の大人も、口出しせず見守る接し方を学ぶ。ユニークで息の長い活動は全国的にも高く評価され、主催する地元のNPO法人が意欲を新たにしている。

 11日、松江市殿町の県民会館の一室に、NPO法人「おやこ劇場松江センター」(松江市中原町)の会員が持ち寄ったおもちゃや絵本が並んだ。品定めした子どもが勇気を振り絞り「これ、ください」と店員に声を掛ける。

 センターが1983年から毎年開く「げきじょっこまつり」の呼び物「ドン券バザー」は、会場で現金を「ドン券」というイベント限定の通貨に両替し、子どもたちが買い物を楽しむ。

 子どもの意思を尊重し、親が口出しをしないルール。保護者が口を出してしまったり、子どもが保護者に助けを求めて駆け寄ったりすることもあるが、そこを乗り越えるのが成長だ。

 中島紋子理事長は「決められないことや声を掛けられないことも子どもにとっては学び。大人はそれを受け止めてほしい」と説く。

 松江市在住の会社員、岡本拓也さん(40)は息子の壮史君(4)と娘の知歩ちゃん(2)の買い物を見守った。「初めて来た時は付き添わないといけなかったが、今は1人でできるようになった」と2人の成長にほほ笑む。

 関わる世代それぞれに学びがあるという。買い物は、まず未就学児、次に小学生という順番で、小学生は小さな子どもに譲って待つ姿勢を学ぶ。店員は大人のほか、かつて買い物をした中学生以上の子どもが担当。買い手の子どもの自主性を妨げないよう見守りつつ、タイミング良く声を掛けて促す接し方を学ぶ。

 活動が評価され、同NPO法人はパナソニック教育財団の2020年度「子どもたちの”こころを育む活動”」で148団体から最高の全国大賞を受賞した。

 中島理事長は「子どもたちの喜ぶ姿を見るのが楽しくて、続けてこられた。子どもの心を豊かにする取り組みが大事と言われつつも、理解が広がっているのか分からないので、評価されてうれしい」と喜んだ。

2021年2月18日 無断転載禁止