空き家バンク登録停滞 高いニーズ、確保策課題

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、「空き家バンク制度」を設ける島根県内の市町村で、移住者の住まいとなる空き家の新規登録が伸び悩んでいる。移動自粛で所有者の帰省が難しくなり、登録ができず、前年度と比べて3分の1にとどまる自治体も出ている。一方、積極的な働きかけで新規登録を伸ばす動きもあり、コロナ禍で地方への関心が高まる中、確保策が問われている。

 山陰中央新報社のまとめで、バンク制度を持つ18市町の新規登録件数は2019年度の402件に対し、20年度は317件(19日現在)。申請数などから、年度末までに大幅な増加は見込めない状況だ。

 江津市は、19日現在の登録件数が10件で、前年度比20件減。例年50件前後を確保していた入居可能な物件は38件に減った。所有者から相談を受け、市と宅建業者が調査・査定し、登録の流れになるが、同市の形部麻美定住相談員は「県外在住の所有者が帰れないなどで、相談自体が減っている」と話す。空き家の経年劣化が進めば、登録が見送りになる懸念もある。

 前年度比17件減の雲南市は、20年4~6月の登録が1件のみ。市は政府による緊急事態宣言発令に伴い、市外在住者との対面相談を中止した影響とみる。美郷町も20年2月に相談を受けた県外在住2人の手続きがいまだに進んでいない。

 一方、新規登録件数を増やした自治体もある。西ノ島町は20年度に調査を実施し、管理が行き届いていない空き家を把握。所有者に登録を呼び掛けた結果、前年度比5件増の6件になった。不動産関係者を招いた住民向けの相談会を開き、制度をPRした隠岐の島町は前年度比9件増の53件。電話のやりとりのみで契約を可能としており、同町の野一夢二定住支援員は「もともと帰省が難しい離島ならではの遠隔での受け付けが、うまくはまった」と説明する。

 地方移住に向け、空き家住まいを希望する移住者のニーズは高い。江津市を拠点に、都会地の音楽家の移住促進に取り組む石見音楽文化振興会の田中健一代表理事(49)は、19年に続き、移住者の住まい探しに奔走した経験を振り返り「空き家の絶対数を確保し、選択の幅を広げてほしい」と願う。

2021年1月21日 無断転載禁止