雰囲気一変、緊張感漂う会場 コロナ下、初の共通テスト

 コロナ禍の中で16日に始まった初めての大学入学共通テストは、前年までのセンター試験とは風景、雰囲気が一変した。生徒を励ます引率教員は会場の大学構内に入れず、宿泊先など会場の外で受験生を見送った。緊張感に包まれたテスト初日の周辺を追った。

 午前8時、試験会場の島根大松江キャンパス(松江市西川津町)に近いホテルのロビーでは、宿泊していた島根県立飯南高校の受験生と教員が円陣を組んでいた。

 2人の引率のうち、足立勝一教諭(56)が「いつも通り、変わったことはしなくていい」と声を掛け、雨の中で会場に向かい歩き出した生徒の後ろ姿を見送った。

 例年なら、試験直前に構内の控室で一人一人に掛けたい言葉だ。しかし、感染拡大防止の観点から教員や保護者は会場内に立ち入ることができない。「お互い顔を見合わせるだけで生徒は安心する。教員も生徒がどんな様子か分かるから、会場にいてやりたいが」と胸中を明かした。

 島根大松江キャンパスでは試験開始30分前の午前9時ごろ、自席で自習する受験生に向け、試験官から「試験中は常にマスクを着用してください。ない人はいませんか」とアナウンスがあった。

 正午からの昼休憩も、例年と異なる光景があった。

 受験生はようやくマスクを外し、持参した昼食を自席で取る。食事を終えるとまたマスクをつけて、自習にふけっていたという。会場の雰囲気についてある受験生は「ただ黙々と、という感じ。すごく静かだった」と振り返った。

 午後6時半。受験生が初日の日程を終えた。「密」を避けるため、分散して会場から出てきた。まだ2日目があるということもあり、友人と会話する生徒はほとんどおらずに、それぞれ帰路に就いた。

 飯南高校の生徒もホテルに帰り、足立教諭が迎えた。テストについて「簡単」「難しい」などは互いに口にしない約束だ。明日を控える生徒に足立教諭はこう呼び掛けた。

 「今は何より、明日に向けた勉強を頑張ろう」

2021年1月17日 無断転載禁止