おもしろサイエンス(9) いまさら聞けない PCRってなに?

DNAを増やして光の強さを測るよ

 皆(みな)さん毎日、新(しん)型(がた)コロナウイルスのPCR検(けん)査(さ)って言葉を聞いていますね。今回はPCRの話。まずPCRは小さい容(よう)器(き)(チューブ)の中でDNAを「増(ふ)やす」作業と覚えておいてください。DNAとは私(わたし)たちの体の設(せっ)計(けい)図(ず)(遺(い)伝(でん)子(し))の材料で、4種類の部品(塩(えん)基(き))からできています。それぞれにA(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)、T(チミン)の名前がついています。

 AとTは大の仲良し、CとGも大の仲良しで、いつも向かい合っています。でもAとC、TとGは向かい合うことができません。PCRはまずDNAに熱をかけて仲良し同(どう)士(し)を分けることから始まります。分かれた1本の鎖(くさり)に20人ぐらいのお友達グループ(プライマーといいます)をくっつけます。このお友達グループがさらに友達(塩基)を呼(よ)んできます。1本だったDNAが最後には2本になります。

 また、熱をかけて2本が4本、4本が8本に次々と友達の鎖(DNA)が増えます。この作業は40回ぐらいまでできるので、たーくさんのDNAができます。どのプライマーを選ぶかによって、増やせるDNAが選べます。新型コロナ用のプライマーを使えば、新型コロナ由来のDNAだけが増やせます。魔(ま)法(ほう)のようですね。

 では、なぜ新型コロナの検査にこの作業が必要なのでしょうか? そこにもう一つの魔法があります。仲良しのAとT、CとGの間に入ったときだけ光るボール(蛍(けい)光(こう)色(しき)素(そ))です。DNAが入っているチューブにこのボールを入れると、DNAがたくさんあればあるほど光ります。

 新型コロナの遺伝子はRNAなので、まずRNAをDNAに変えます。できたDNAは光るボールで測るには少なすぎます。PCRで新型コロナ由来のDNAを増やすと測れるようになるのです。コロナ由来のDNAがないと、コロナ用のプライマーがくっつかず、DNAは増えないので光りません。感(かん)染(せん)していないということです。



国立環境研究所地域環境研究センター 冨岡 典子
国立環境研究所地域環境研究センター 冨岡 典子

■略(りゃく)歴(れき)

 1961年生まれ。鳥取市立稲(いな)葉(ば)山(やま)小から出雲市立今(いま)市(いち)小、出雲一中、出雲高校卒。83年千葉大学園芸学部卒。84年国立公害研究所入所、改組を経(へ)て、現(げん)在(ざい)国立環(かん)境(きょう)研究所地(ち)域(いき)環境研究センター勤(きん)務(む)。

2020年12月30日 無断転載禁止

こども新聞