消える神社のひしゃく コロナ対策で 山陰両県

マイひしゃくを使う参拝客=松江市佐草町、八重垣神社
 新型コロナウイルスの影響で神社の手水舎(ちょうずや)から、ひしゃくが姿を消している。使い回しや混雑を避けるためで山陰両県でも撤去の動きが広がった。手と口を清めてからの参拝が本来の姿だけに、手で受けてもらうよう流水だけ用意する神社もあるが、ひしゃくですくうより滞留時間が増して混雑につながりかねず、神職は悩ましさを口にする。初詣を前に、携帯用ひしゃくを扱う商店も現れ、新年の風景が変わりそうだ。

 日本五大稲荷の一つ、太皷谷稲成神社(島根県津和野町後田)は3月に撤去した。初詣客が手と口を清められるよう流水だけ用意するつもりだが、たまった水をすくえるひしゃくがあると、一度に10人近く対応できるところ、流水だけだと5人にとどまる見込み。

 角河平彬禰宜(ねぎ)は「できれば清めてほしいが、混雑でかなわない場合があると思う。(清められなくても)参拝される方の気持ちが一番大事だ」と複雑な心境を明かす。

 出雲大社(島根県出雲市大社町杵築東)や熊野大社(松江市八雲町熊野)でも撤去。美保神社(同市美保関町美保関)は流水も止めているが、初詣までには再び流す予定という。宇倍神社(鳥取市国府町宮下)はひしゃくと流水方式の両方を用意する。金田祐希禰宜(ねぎ)は「それぞれの参拝者の気持ちが出るところで、選べるよう対応した」と説明する。

 あくまで作法にのっとって初詣をしたいというニーズを見込み、着物レンタル店・堀川小町(松江市奥谷町)は「マイひしゃく」を開発し販売を始めた。軽いプラスチック製と竹製を用意し、長さ40センチほど。携帯しやすいように柄を折りたたむことができ、松江市の花・ツバキの模様の巾着袋をセットにした。

 同店で着物を借りる女性客の大半が出雲大社などを参拝する点に着目して発案した。思惑通り「二つでも三つでも欲しい」と評判は上々で、加藤茂代表(55)は「コロナとともに生活する新しいツール。出雲の国のおみやげとしてほしい」とアピールする。

 山陰両県で社寺巡りを楽しむ女性の会「社☆ガール」のメンバー、松原慶子さん(38)=鳥取県米子市在住=も早速、購入。「きちんとした作法で参拝するとすがすがしい気持ちになると思う。袋がかわいく、早速初詣で使いたい」と声を明るくした。

2020年12月28日 無断転載禁止