冬の味覚 カニ価格高騰 GoTo停止で落ち着くか
県水産課によると、11月末時点の雄の「松葉ガニ」の水揚げ量は185トン(前年同期比9%増)と増えたにもかかわらず、1キロ当たりの平均単価は4575円(同30%増)と高騰。全体の水揚げ金額も約8億4800万円(同42%増)に増えた。
カニ汁の具材などに使われる雌の「親ガニ」の水揚げは191トン(同14%減)と減だったが、平均単価は3550円(18%増)と値上がりし、水揚げ金額も6億7900万円(同2%増)に伸びた。
鳥取県は観光支援事業で飲食店や旅館での需要が上がり、市場での引き合いが強まったためと分析する。
海鮮市場「かろいち」(鳥取市賀露町西3丁目)内にある直売店「JFかろいち店」は高価格帯の松葉ガニの販売価格を据え置いた一方、例年1枚500~600円で販売していた親ガニを千円に値上げした。
コース料理で生きた状態の松葉ガニ「活松葉」を毎月400~500枚出す「味処美佐」(境港市京町)の浜野政和代表は「松葉の仕入れ値は1.5倍くらいで今年は高すぎる」と首を振る。時価設定ではないため、コース料理も大きく値上げできず、利益も前年ほどではない状況が続いている。
政府がGo To トラベルを28日から来年1月11日まで全国で一時停止したことで価格はどうなるのか。
浜野代表は「年末までは高止まりするだろうが、年明けからは少し落ち着くのではないか」と予想。県漁協網代港支所(鳥取県岩美町大谷)の元部繁紀総務部長代理は「漁の具合にもよるが、今より上がることはない」と見る。
家計にも朗報は届くのか。小学生2人の娘を持ち、親子でカニが大好きという米子市新開5丁目の主婦(42)は「今年は比較的安いベニズワイガニで我慢している。松葉ガニが安くなればカニすきを楽しみたい」と、食卓で冬の味覚の王者を囲む日を待ち望んでいる。
2020年12月22日 無断転載禁止