基本の感染予防徹底を 第3波への備え・インタビュー

景山誠二・鳥取大医学部教授
 新型コロナウイルスの猛威に歯止めがかからない。山陰両県では断続的に感染者が確認され、収束への道は険しさを増す。インフルエンザとの同時感染が懸念される冬場を迎え、感染拡大が続く現状、今後の見通し、求められる行動などについて、両県の関係者に聞いた。

 -第3波の現状をどう見るのか。

 「寒くなる季節性や国内外の人の流れ、世界的な感染状況など複合的な要素を考え合わせると、感染拡大は続くだろう」

 「そもそも新型コロナは、ウイルスが体内で増殖し、発症時に最も多くなる特性があり、飛沫(ひまつ)感染しても発症するまでが遅い。自身で気付かない感染者が多くいるということだ。SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)ウイルスでは増殖過程で発熱反応が現れ、10日目に最大量になる。この違いは大きく、新型コロナ感染拡大の連鎖を断ち切る対策をより困難にしている」

 -山陰両県では断続的に新規感染者が確認され、50代以上も出てきた。

 「基本的に第1波、2波と同じように東京や大阪の動きを反映して上がり下がりしており、特段、高齢者間で広まってきたというトレンドにない。人口の少ない両県の場合、濃厚接触者を追跡しやすく、1回の連鎖で食い止めている。現時点で医療機関のキャパ(収容能力)にも余裕がある。ただ(第3波で)大都市圏を中心に新規感染者数が過去最多を更新し、人の流れが出てくる年末年始を控える中、不気味さはある」

 -家庭内感染がクローズアップされている。

 「インフルエンザと同様、家庭内にウイルスが持ち込まれたら対応は難しい。特に高齢者は新型コロナ禍で迎える初の冬季となり、感染に伴う重篤化が懸念される」

 -切り札のワクチン接種が現実味を帯びてきた。

 「感染症対策の柱は感染経路対策、ワクチン開発、治療薬開発だ。この三つがそろえば流行は抑えられ、死者数も少なくなる。海外の大手製薬会社が開発し、高い有効性があるとされる2種類のワクチンに関して言えば、懸念の副作用も命を左右するレベルのものではなく、有効性についての信憑(しんぴょう)性は高いように思う。個人的見解だが、おそらく接種が始まるであろう米国では、感染者が激減するのではないか。本年度末までに大きな変化が起こる可能性はある」

 -光明が見えてきた?

 「そう思っている。ただし収束するまでは、人にうつなさいためのマスク着用や3密回避など基本通りの予防をしっかり行うことが肝要だ。地方自治体は正確な情報を提供し、感染リスクの少ない地域社会をつくるよう努める必要がある」

 -新型コロナと共存する新しい生活様式の実践が求められている。

 「ウィズコロナ、ポストコロナの新しい生活様式とは具体的に何か、どのような違いを求めているのかなど、十分なコンセンサスが得られていないと思う。例えば空気の流れ、換気に配慮した住宅に住むのが当たり前にならない限り、元のもくあみになってしまう」

 「新型コロナのように特定の国、地域の風土病だった感染症が、地球規模の人の移動によってパンデミック(世界的大流行)になる可能性は今後も高い。新しい生活様式の定義をいま一度見直し、安全な社会をみんなで形づくる必要がある」

2020年12月5日 無断転載禁止