音楽トリビア26の秘密 秘密(18)音程の「振動数比」

音程分類表
不協和音程が名曲を生む

ラジオの時報は1:2

 音とは目には見えないけれど、空気の振動(しんどう)です。昔と違(ちが)い今ではその振動が1秒間に何回か、機械で測(はか)れるようになっています。単位はHz(ヘルツ)です。例えばNHKラジオの時報(じほう)「プ・プ・プ・ピー」。聞いたことがありますか? このプの振動数が220ヘルツ、ピーが440ヘルツです。プからオクターブ上がったピーとの「比(ひ)」は、220:440だから1:2になるのが分かりますね。

 今回は、音程(おんてい)を種類別に分け「白鍵(はっけん)」での実例と振動数比を付け加えた表を作りました。振動数比の数字をよく見てください。実は、今ではこの数字が小さいほど「協和」しているといわれているのです。だから長2度は、短2度より「協和」しているのが、数字上でも表れているのです。



 さて、振動数比の数字が断(だん)トツに多いのが増(ぞう)4度と減(げん)5度。まず増4度。何が「増」なのかというと、「完全4度」より半音1個(こ)分、幅(はば)広く増(ふ)えているということです。ファからシを指折(お)り数えると「4」。この音程は、短音階の回で長いとお話ししましたが、図で分かるように、間が全部「全音」なのです。シからファは、指折り数えると「5」。だけど間に2カ所「半音」の所があり(シ・ドとミ・ファ)、「完全5度」より半音1個分、幅が減(へ)っているのです。同じ半音6個分の幅なのに「ドレミファ(階名)」で数えるので、呼(よ)び名が変わるのです。


知ってほしい名旋律の「マリア」

「マリア」を作曲したバーンスタイン=1990年、ドイツ(AP=共同)
 さて、この音程、使いづらいのか、みんながよく知っている曲は見つかりませんでした。でも私(わたし)は、みんなにぜひ知ってもらいたい曲があります。20世紀(せいき)の大傑作(だいけっさく)ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」の「マリア」。作曲はアメリカが誇(ほこ)る巨匠(きょしょう)、バーンスタイン(1918~90年)です。不安と希望に揺(ゆ)れる初々(ういうい)しい恋心(こいごころ)を描(えが)いた、唯一無二(ゆいいつむに)の名旋律(めいせんりつ)だと思うからです。右のQRコードでも見聞きできますが、ぜひオリジナルも聴(き)いてみてくださいね。QRコードには、次にあげる音程も多くの実例を収めています。

 完全5度は「きらきら星」など多数あり、期待や希望を感じさせると思います。「メリー・ウィドウ・ワルツ」では天使の音程の完全4度と、完全5度の違(ちが)いがよく分かると思います。

 短6度は、手品のBGMによく使われる「オリーブの首飾(くびかざ)り」など。「謎(なぞ)」めいた感じがすると思います。

 長6度は、憧(あこが)れを感じさせる名曲が多く、ディズニーの「小さな世界」などがあります。クラシックの名曲「愛(あい)の挨拶(あいさつ)」は、長6度、短7度、短6度の進行が、名旋律の秘密(ひみつ)だったのです。

 短7度は曲の最初にはほとんどありませんが、途中(とちゅう)で変化をつけるために使われ、「スター・ウォーズ」のようにカッコいい旋律が多いです。

 長7度も曲の始めに使われることはほぼありません。「導音(どうおん)」として曲の締(し)めくくりに使われることが多いですね。

 完全8度は、ディズニーのアニメ「ピノキオ」の「星に願いを」など。隔(へだ)たりが広いので、スケールが大きく、感動的。しかも歌いやすいのでとても多いですよ。

(プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

2020年11月26日 無断転載禁止

こども新聞