飲食業界への支援策、居酒屋とスナックで明暗

スナックなどが立ち並ぶ松江市の繁華街・伊勢宮。居酒屋には客足が戻りつつあるが、スナックは苦戦している12日午後10時25分、同市伊勢宮町
 島根県内最大規模の繁華街として知られる松江・伊勢宮で、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生して7カ月が過ぎた。国や自治体による飲食業界への支援策が奏功し、客足が戻りつつある居酒屋に対し、スナックは閉店が相次ぎ、明暗が分かれているという。伊勢宮の今が知りたくて、ネオン街を歩いた。

 「すみません。今、いっぱいなんです」。12日午後7時半。松江市御手船場町の山陰海鮮炉端かば松江駅前店を訪ねると、満席。

 やむなく別の居酒屋に入り、検温、消毒をして席に着く。平日にもかかわらず若者や中高年の会社員でにぎわい、職場や家族、友達の話題が聞こえる。皆、顔を赤らめ楽しそうだ。

 感染者数が落ち着く島根の居酒屋で客足が戻りつつある状況を実感する一方、「なぜ平日なのにこんなにも人が」とも思う。理由を確かめようと午後9時に再びかばに向かうと、福島里美副店長(44)が温かく対応してくれた。

 潮目が変わったのは夏以降。市内で大規模クラスターが発生したお盆ごろにキャンセルが出たものの、国の「Go To キャンペーン」や、県や商工団体が企画するプレミアム付き飲食券の効果で、最近は忙しい毎日という。忘年会の予約は、例年の30~40人規模と異なり、5、6人と少人数が多い。感染防止策は徹底しており、福島副店長は「県内はこのまま(感染状況が)落ち着いていてほしい」と願う。

 一方、スナックは厳しい経営が続く。午後11時前、なじみの店に入ると、ボックス席で地元客7人がカラオケを楽しんでいた。「今日は珍しく団体が入ったのよ」と、おしぼりを手渡しながら60代ママが苦笑いする。

 2カ月間の休業を経て、自動の手指消毒機器や、マイクカバーを備える対策をとるが「週末に少しお客さんが来る程度で、平日は全然」。複数の関係者に聞くと、伊勢宮では少なくとも10店舗が閉店したという。

 ママは、1軒目の居酒屋で長時間過ごし、2次会をせずに帰る人が増えたと感じる。実際、酒文化研究所(東京都)が10月下旬に実施した調査で、24.6%が「2次会にいかない」、18.9%が「飲み会は2時間まで」と答えた。

 ハイボールをかき混ぜながら「スナックは初対面の人ともコミュニケーションできるのが魅力なのよ」とママ。日々の疲れを癒やす憩いの場を守ろうと、カウンターに立つ。

 店を出ると、人通りはほとんどない。コロナが街の灯まで消しかねない-。にぎわいが戻る日はいつになるのかと案じながら、帰路に就いた。

2020年11月17日 無断転載禁止