フィリピン国籍の男女3人、コロナで雲南に8カ月足止め

足止めが続く中、近くのパン店が提案したピザ作りに参加して思いやりに感謝する3人=10月21日、雲南市木次町寺領
 新型コロナウイルスの世界的な流行の前に観光で来日したフィリピン国籍の男女3人が、本国の感染拡大の影響で帰国が困難となり、島根県雲南市内の親戚宅に身を寄せている。約8カ月にわたり足止めとなっている間に本国では何度もロックダウン(都市封鎖)が起きた。保険がなく、観光ビザの期限もある中で帰国すべきか否か、戸惑っている。

 帰国できなくなっているのは、マニラ近郊から来たロニーロ・カイワンさん(31)と弟のジョメリさん(29)、いとこのファティマ・イソルダさん(30)。2月下旬に観光ビザを取得して東京や京都を巡ろうと、3カ月の日程で来日した。3人が旅行中にフィリピンでは感染が急拡大し、当局は3月中旬に外出・移動制限を厳格化した。帰りの航空便も運休し、帰国が困難となった3人は雲南市木次町新市に住む、おばの梶岡アイダさん(52)宅で滞在している。

 観光ビザはこれまで3度延長。就労できない上に保険がなく、ロニーロさんやファティマさんの歯が痛くなった際は梶岡さんが持つ薬でしのいだ。それでも、3人は日本を「ピースフル(平和)」と感じている。

 母国は学校や公共交通機関が機能せず、11月に入り感染者は39万人、死者は7500人を超えた。強権で知られるドゥテルテ政権はマスクを外した人に罰金を科すといった厳しい対策を全土に敷く。ロニーロさんが勤務していたホテルは感染者の隔離施設となり、帰国しても職場復帰はできないという。

 梶岡さんは「帰りたい気持ちもあるだろうが、帰ったところでフィリピンの方が大変な状況だ」と3人の境遇を代弁する。

 9月に入り3人は、しまね国際センター(松江市東津田町)と島根県の日本語教室で学び始めた。ボランティアと一緒に週1回勉強し、簡単な会話を少しずつ身に付ける。10月下旬には雲南市寺領のパン店が開いたピザ作り体験に参加し、住民と交流を深めた。

 家族で助け合うのがフィリピン人の精神といい、母国を思うと顔が曇るが、「日本語の勉強は楽しい。もっと文化を知りたい」と3人は周囲の支えに感謝しながら日々を過ごしている。

2020年11月11日 無断転載禁止