コロナ新体制、医療現場で混乱も
「2週間前に大阪に行った息子が、40度の高熱を出している。県のコールセンターから紹介されたので、受診していいか」
2日午前11時ごろ、県の指定を受けて発熱患者の診療を始めた松江市内の内科医院は、この電話に凍りついた。発熱患者に来院歴はなく、近所だったため紹介先に選ばれたいう。
この日は午前8時半から正午までに83人が来院し、インフルの予防接種の希望者でごった返していた。医師は60代の院長1人しかいない。同医院に発熱患者専用の診察室はなく、電話での問診を想定していた。
紹介された患者はコロナへの感染が強く疑われるとして、診察は困難と判断。患者に再度、県の窓口に相談するよう案内した。
院長は「可能な限り診察したいが、今回のケースは診療所でできる範囲を超えている」と憤り、患者の適切な振り分けを求めた。
県は感染者との接触が強く疑われるか、基礎疾患があり重症化の懸念がある場合は、かかりつけ医ではなく、受け入れ体制が十分に整った総合病院などを紹介するという。県薬事衛生課感染症グループの宮本毅グループリーダーは、今回のケースが基準に該当するか不明としつつも「不備があれば、その都度改善を図りたい」と話した。
新型コロナの検査を集中的に担う「松江地域検査センター」(松江市西嫁島2丁目、市医師会館敷地内)には2日午後5時時点で、松江市内の医療機関から紹介された患者2人が訪れ、ドライブスルー方式で検体を提出した。市によると、時間を決めて患者を案内しており、目立ったトラブルはないという。
2020年11月3日 無断転載禁止