コロナ禍の「おせち」様変わり 山陰両県

少人数向けを1・5倍に増やしたJU米子高島屋のおせち売り場=米子市角盤町1丁目
 新型コロナウイルス禍で正月料理の定番「おせち」のカタチが変わりそうだ。山陰両県の百貨店や料亭は、取り分け不要の1人前の商品投入や年末年始の帰省自粛の広がりを予想し少人数向けの拡充に動いている。家庭で過ごす正月で需要が増えるとの見方もあり、各社は例年と異なる品ぞろえで商戦に挑む。

 料亭・蓬莱吉日庵を運営する魚一(松江市殿町)は複数人が同じ重箱の料理を食べるのを避けるとみて、例年の2~5人用に加え、家族の人数分を頼める1人前を新たに作ることを決めた。約30品を重箱に詰め、30個限定で価格は7千~8千円を想定。吉村日出国社長は「手間だけが増えて売り上げを落とす可能性もあるが、人口減少や核家族化が進む中、個食ニーズにも対応する必要がある」と、コロナ後を見据えた試験的な位置付けで取り組む。

 JU米子高島屋(鳥取県米子市角盤町1丁目)は、帰省できない人がいる家庭の需要も見込み、1~2人用の少人数向け商品を1.5倍に増やした。

 コロナ禍ならではのおせちも充実させる。疫病を取り払う妖怪「アマビエ」のデザインを重箱のふたや具材に入れた商品や、コロナ太りを意識した「ヘルシーおせち」を新たに投入。

 さらにゲゲゲの鬼太郎のキャラクターを全面に使用した3段重は、旅行を控えて家庭で過ごす人や3世代家族をターゲットに据えた。帰省できない家族におせちを送る「ギフト需要」も見込み、売り上げは前年比3.5%増と伸張した昨年を上回る10%増の目標を掲げる。

 おせち需要の高まりを捉えたANAクラウンプラザホテル米子(同市久米町)は初めてとなる早期予約特典を設けた。11月30日までに予約すると、ホテルのレストランで使える2千円分の食事券を贈る。

 一方、今後の感染状況によって正月に集まる人数が変わることも十分に考えられる。このため、おせちとは別に、人数が増えた時の調整用として直前に購入できるオードブルや鍋セットも拡充した。

 注文状況が予測しづらい悩みもあり、安養寺亨執行役員は「(今後の感染拡大は)必要な重箱や食材などの仕入れ計画に影響する」と懸念を示しながら、「こればっかりはふたを開けてみないと分からない」と話した。

2020年10月17日 無断転載禁止