神餅担いで厳粛に 熊野大社で鑽火祭

神餅を熊野大社の本殿に運ぶ担ぎ手
 火を切り出す神器を出雲大社に届ける「鑽火祭(さんかさい)」が15日、松江市八雲町熊野の熊野大社で営まれた。例年は伝統行事を見る人で境内が埋まるほどになるが、今年は新型コロナウイルスの影響で、神社の役員と氏子代表に参列者を限定し、餅まきも中止して厳かな雰囲気で祭りが進行した。

 鑽火祭は、出雲大社である新嘗祭(にいなめさい)の火おこしに使うため、神器の燧臼(ひきりうす)と燧杵(ひきりきね)を納めた伝説にちなんだ祭事。出雲大社からは神器の代わりに長さ約1メートルの神餅(しんぺい)が奉納された。

 受け渡しの儀「亀太夫神事」で初めて神職の亀太夫役を務めた会社員、岩田裕則さん(42)=松江市八雲町熊野=が、「色が黒く、つぶつぶもある。取り換えてください」とお決まりの苦言を呈した後、「新型コロナに打ち勝てるよう祈ると約束できるならお供えします」と受け取った。

 神事の終わりに、出雲大社の宮司が「百番の舞」をサカキの枝を手に舞った。

 参列した松江市東出雲町出雲郷の米原良子さん(73)は「いつも華やかで、にぎわうので、少しさみしい」と残念がった。

2020年10月16日 無断転載禁止