音楽トリビア26の秘密 秘密(14)黒い鍵盤

頭やオレンジでも弾ける高さ、間隔

 ピアノなどの鍵盤(けんばん)楽器の白い鍵盤、つまり白鍵(はっけん)はドレミファソラシの7種類。それに対して黒い鍵盤、つまり黒鍵(こっけん)は5種類の音が鳴りますね。

 この黒鍵を、指1本でも、写真のように指をかまえてでもよいので、適当(てきとう)に好きなように弾(ひ)いてみましょう。すると、何と不思議(ふしぎ)なことに、どこかで聞いたことのあるような曲になってしまうのです。だまされたつもりでやってみましょう。

白鍵より高く飛び出し鍵盤の間も少し広くなっている黒鍵=筆者提供(ひっしゃていきょう)
演歌からショパンの曲まで

 東京の「寄席(よせ)」で見たんですが、頭のてっぺんで、逆(さか)さにした鍵盤ハーモニカの黒鍵を弾く芸人さんがいたんです。彼女(かのじょ)が弾いたのは、テレビの人気番組「笑点(しょうてん)」のテーマ音楽から、北島三郎(きたじまさぶろう)さんの演歌(えんか)「函館(はこだて)の女(ひと)」に、渥美清(あつみきよし)さんの映画「男はつらいよ」主題歌など。客席はあっけにとられていたので、やり方を説明。そのうちに小中学生のお客さんが多いのに気付き、大サービス。「一年生になったら」に「とんび」や童謡(どうよう)「赤とんぼ」などを弾き、最後は「蛍(ほたる)の光」。これらを頭で黒鍵を弾くのだから、大受けでしたよ。

 ラン・ランという、中国人の有名人気ピアニストをご存(ぞん)じですか。彼(かれ)が「ピアノの詩人」といわれるショパンが作曲した「黒鍵のエチュード」を弾いた映像(えいぞう)を、テレビで見たことがあります。右手で弾く白鍵はただの1音。あとは全部黒鍵で弾く難(むずか)しい曲です。何と指で弾く代わりに、右手でオレンジを転(ころ)がして、指では弾けそうにない、ものすごいスピードで弾いていたのです。

 黒鍵は白鍵と違(ちが)って、高く飛び出していて、一つ一つが少し離(はな)れているので、頭のてっぺんやオレンジでも弾けるわけです。だから、私(わたし)たちも指1本でも、拳(こぶし)でも弾けちゃうんです。

四七抜き音階と配列同じ

 日本では古来、歌われていたのは5音音階。これは白鍵のオクターブ、ドレミファソラシドのうちの第4音の「ファ」と第7音の「シ」が抜(ぬ)けている、ドレミソラドです。これは前回で説明した、ピタゴラスの方法で求められる音階と同じでしたね。これを「四七(よな)抜(ぬ)き音階」といいます。この音階の間隔(かんかく)の配列は、ド(全)レ(全)ミ(全+(プラス)半)ソ(全)ラ(全+半)ドです。

 さて謎解(なぞと)きです。この間隔の配列が、何と黒鍵の配列と同じなのです!

 黒鍵が三つ並(なら)んでいる左端(ひだりはし)、ファ♯が鳴る鍵盤から右に弾いてみましょう。指1本でオーケーですよ。左のQRコードでも見聞きできるようになっていますので、試してみてくださいね。

 その他、童謡「お正月」や「夕焼け小焼け」にアメリカの童謡「メリーさんの羊(ひつじ)」のさわりも動画にしてあります。よかったらまねして弾いて遊んでね。拳で弾いた動画もありますよ。これもよかったら、まねしてみてね。

 (プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

2020年9月30日 無断転載禁止

こども新聞