住民投票、直接請求 市長、議会に条例案提出へ

松浦正敬市長(右)に条例案を提出する片岡佳美代表=松江市末次町、市役所
 松江市役所本庁舎(松江市末次町)の建て替え事業を巡り、大学教授らでつくる市民団体が24日、着工延期の是非を問う住民投票条例の制定を松浦正敬市長に直接請求した。松浦市長は遅くとも10月中旬までに、自身の意見を付けて市議会に条例案を提出する。請求に必要な署名は1万4145人分が集まった。

 市民団体は「松江市民のための新庁舎建設を求める会」(代表・片岡佳美島根大教授)で、署名数は直接請求に必要な有権者の50分の1(約3400人)の4.2倍が集まった。団体によると、住民投票条例案は、現行の建て替え事業を中断して計画を練り直すか、2020年度中の着工を予定する市の計画通りに進めるかを二者択一で問う方式を想定する。

 この日、市役所で松浦市長と面会した片岡代表は新型コロナウイルスの感染拡大による市民生活への影響を念頭に「今、なぜ150億円規模の新庁舎を建てるのか。市民の思いを大事にしてほしい」と訴えた。

 条例案と署名簿を受け取った松浦市長は既に事業費が議会承認されている点を踏まえ「最初から一緒になってこの問題を考えていくという話があれば、当然そういうことができたと思う」と強調。条例案は地方自治法に基づき、20日以内に市議会に提出しなければならず、早期に日程を調整する考えを示した。条例案に付す意見は現時点で白紙とした。

 現庁舎は築58年の本館建物や別館の老朽化が進み、大規模地震などで倒壊する恐れがあるとして、市が建て替えを計画。事業期間は7年間で、試算段階で120億円と示していた総事業費は建設単価などを反映して150億円となった。

 市庁舎の整備事業に関する住民投票を巡っては、11年に鳥取市で市民団体が約5万人分の署名を集め、庁舎の新築移転の是非を問う条例案の制定を請求。市議会が否決したものの、後に議員提出の条例案が成立し、12年5月に住民投票が実施され「耐震改修」が「新築移転」を上回る結果となった。

2020年9月25日 無断転載禁止