世事抄録 意思疎通の難しさ

 これまでの人生、意思疎通の難しさについて考えさせられる場面が多かったように思う。まずは頭の中で考えていること、感じたことを最適な言葉に変換する作業から始まる。これが実はとても難しい。自分の考えをできるだけうまく伝えられる言葉と話の起承転結を瞬時に構成し、言葉として発するわけだが、真意が伝わらないことも多い。大体は自分の考えが整理できていないからだし、ボキャブラリー不足も大きな要因だと思う。

 さまざまな場面に応じて、場の雰囲気をうまくつかみながら、自らの考え方や思いを伝えるのはさらに至難の業だ。発言した後に相手の顔色や反応をうかがっていると、うまく伝わらなかったかなぁと感じるときがある。皆さんも経験されたことがあると思うが、とても気まずい雰囲気になる。私は、相手を傷つけてしまうと相手以上にへこんで引きずってしまう。いっそのこと何も言うまいと思うが、そうもいかない。

 最近、リアルタイムで外国語を翻訳してくれるIT機器がある。近未来には本人の意思を読み取って的確な表現で正しく相手に伝えてくれる仕組みができるかもしれない。

 一方で「曖昧」という概念が排除されたとき、人と人との意思疎通はうまくいくのだろうかとも思う。人と人との縁は理屈で突き詰めないことで良い具合につながっているのかもしれない。

 (雲南市・マツエもん)

2020年9月10日 無断転載禁止