指導医講習会をウェブで実施 コロナ禍でも育成
指導医講習会は、現行の臨床医研修制度が始まった2004年度から、厚労省が認定したプログラムで毎年各地で実施。山陰両県はそれぞれ県が関係団体に委託する形で年1、2回開催している。
同省のガイドラインによると、若手の指導の在り方をテーマに、座学やグループ討論など計16時間の講習が必要となっている。ところが20年度の講習会は、コロナウイルスの感染拡大防止のため、中止を決めたり開催判断を先送りしたりする地域が多く出ている。鳥取県も今秋予定する講習会について「検討中」(県医療政策課)としている。
この中で、近年指導医講習の希望者が増えている島根県は、感染のリスクを避けながら開催する方向で検討。20年度に予定した2回のうち、20人余りが参加する9月の1回目を、会議ソフト「ズーム」を利用したウエブ形式で進める計画を立て同省の承認を得た。県から委託を受けている「しまね地域医療支援センター」(出雲市塩冶町)によると、講習会の全課程をウェブで構築したのは全国で他に例がないという。
討論で講師と受講生との細かいやり取りが求められ、「質」を担保するのが課題。ズームで参加者の「部屋」を分けられる機能を活用し、グループ討論を実現する。また「島根県の地域医療」「指導医の役割」など、講義とミニテストがセットになった「オンデマンド学習」は、開催時期を約10日間と幅を広げ、参加者が好きな時間に繰り返し講義を聞き、理解を深められる仕組みになっている。
企画責任者を務める鬼形和道・島根大医学部付属病院卒後臨床研修センター長は「質的に高い内容を保ちながら、仕事や家庭を持っている医師が出席しやすい形にしていきたい」と話した。
2020年9月7日 無断転載禁止