”巣ごもり”でも満喫した夏 「おうち縁日」子ども笑顔
「このままでは、子どもたちがかわいそうだ」
島根県隠岐の島町小路に住む製材業、前田玲さん(38)と妻の知子さん(34)は、新型コロナの影響で毎年参加を楽しみにしていた花火大会や盆踊りが中止になり、落ち込む3歳の長女(3)と次女(1)の姿が気になった。
8月下旬、自分の家で祭りをやってみようと「おうち縁日」の開催を決めた。
屋台の装飾や食べ物にもこだわり、「縁日」だけで使える通貨も発行した。ヨーヨー釣りや射的、くじ引きといった祭りでおなじみのゲームも1週間かけて準備。同月29日、夏の締めくくりに親族や近所の子どもたちを招いた。
今年は浴衣に袖を通す機会がないと悲しんでいた子どもたちは、思わぬサプライズを受けて歓喜に沸いた。前田さんは「子どもたちの笑顔が見たかった。夏らしいことをさせてあげたいという思いで、全力で取り組んだ」と、満足そうに話した。
子どもに夏を満喫してもらいたいという親の思いは小売店の売り上げにも影響した。家電量販店の100満ボルト松江本店(松江市乃白町)では、8月に入ってかき氷機の問い合わせが殺到。次々と親子連れが来店し、数日のうちに在庫がなくなった。
スーパーホームセンターいない米子店(米子市東福原7丁目)では、子ども用プールが前年比2倍となり、アイスクリームをすくうディッシャーが品切れ状態になった。同店の松岡健一店長(44)は「コロナ禍で外出できない中、子どもが自宅でも楽しく夏を過ごせるような商品が大きく動いた」と話した。
2020年9月4日 無断転載禁止