音楽トリビア26の秘密 秘密(12)音階

長と短 ドとラの始まる音で違う音階に

 今回は、音楽が私(わたし)たちの心に何かを起こさせる、核心(かくしん)に迫(せま)る秘密(ひみつ)です。


定まるまでにおよそ1000年

 今、ほとんどの音楽は「長音階」と「短音階」でできています。1700年頃(ごろ)の西洋の音楽家たちが、およそ1000年の試行錯誤(しこうさくご)を経(へ)て選んだ結果です。

 鍵盤(けんばん)をどこからでも左から右に弾(ひ)いていくと、音が一つ一つ階段(かいだん)を上(のぼ)るように上(あが)がっていきますね。これを音の階段、つまり「音階」と言います。

 では、「ド」から白い鍵盤だけを弾いてみましょう。実はこの音階、皆さんにはものすごく自然で、分かりにくいとは思いますが、音の階段の間が、広い所と狭(せま)い所があるのです。白が二つ続いている所が狭くて、間に黒が入っている所は広いのです。狭い所の間隔(かんかく)を半音、広い所の間隔を全音と言い、全音は半音二つ分の間隔になっています。

 図を見ていただくとお分かりのように、「ミ・ファ」の所と「シ・ド」の所が半音で、あとは全音の間隔で並(なら)んでいますね。このような音階を、「長音階」と言います。

 では、今度は試しに白い鍵盤だけで「ラ」から始めると、ラ(全音)・シ(半音)・ド(全音)・レ(全音)・ミ(半音)・ファ(全音)・ソ(全音)・ラ。半音の間隔の所は、「シ・ド」が先にあって、あとに「ミ・ファ」。同じ2カ所ですが、場所が違(ちが)いますね。この並び方を「短音階」と言います。

 この二つの音階、同じ白い鍵盤を、左から右に弾いただけなのに、明らかに違う感じがしませんか?

 白い鍵盤から始めた全ての音階を、QRコードで聴(き)けるようにしましたので聴いてみてくださいね。始める音を変えただけなのに、それぞれ感じが違いますね。でもその中で、西洋の音楽家たちが特に気に入ったのが、自信あふれ明快(めいかい)な「長音階」と、謎(なぞ)めいて曖昧(あいまい)な「短音階」。この響(ひび)きの違いが、音楽の感動を生む原点なのです。




ドで始まるのに「ハ長調」

 「長音階」で構成(こうせい)される曲を「長調」の曲と言い、「短音階」で構成される曲を「短調」の曲と言います。なぜか「ド」から始まるのを“ド長調”と言わないで「ハ長調」と言うし、「ラ」から始まるのを「イ短調」と言うのですが、見たり聞いたりしたことがあるでしょ? 


音の呼び方 日本はイロハ

 西洋の音楽が日本に輸入(ゆにゅう)された明治時代、イギリス人の先生は、音階の七つの音一つ一つに呼(よ)び名があることを教えました。A・B・C・D・E・F・Gです。これを日本ではイ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘ・ト、と呼ぶことにしたんです。この順番が「ド」からではなく、「ラ」からだった訳(わけ)は、これを決めた時代の楽器の最低音が、Aだったからと伝えられています。

 ちなみにドレミ…、と言うのはイタリア語です。ハ長調の音の呼び名を表にしたので、参考にしてくださいね。

(プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

2020年9月2日 無断転載禁止

こども新聞