コロナで防災訓練できない 3密回避のため中止や縮小
毎年11月に防災訓練を実施する松江市法吉地区。地区内の17自治会の住民約250人が指定避難所の法吉公民館(松江市比津町)に集まり、避難所の開設などを確認していた。新型コロナの感染拡大を受け、今年は参加者を自主防災組織の隊員など約40人に限定し、避難所を取り仕切る災害対策本部の運営訓練は中止となった。「訓練をやって、実際に体験してもらうことが一番効果的なのだが…」と同公民館の若林三成館長(65)は残念がる。
同市乃木地区の国尾自治会(133世帯)では、9月6日に予定していた住民50人が参加する訓練を取りやめた。屋外開催を予定していたものの、移動時に人々が密集状態になると判断。仙田一吉会長(75)は「いつどこが被災してもおかしくない状況だが(新型コロナの影響で)思うように訓練が進められない」と気をもむ。
活動が制限される中、江津市桜江町川戸地区の住民でつくる川戸地域コミュニティ協議会の今田三之会長(66)は「隣近所同士の日頃のコミュニケーションが大切になる」と強調。
同地区は2018年7月の西日本豪雨に続き、今年7月の大雨でも浸水被害が発生。人口約300人の約4割を65歳以上のお年寄りが占めており、災害弱者の避難が課題となってきた。
地区では昨年、独居高齢者ら約50人を対象に、緊急時の援助者を事前に割り当てておく個別計画を策定した。地区の7自治会ごとに、住民有志や民生委員らで構成する援助者が平時から担当する世帯を訪れて声掛けし、住民間のつながりを保っている。
「災害時は住民のつながりが力になる」と今田会長。「(訓練で)多くの人が集まるのは難しくなっており、近隣住民が普段から意思疎通を図っておくことが、これまで以上に重要だ」と力説する。
2020年9月1日 無断転載禁止