悲しいまま終わらせない 挙式延期の夫婦へ撮影会

演出を考える三宅菜絵店長(奥右)たち=島根県奥出雲町稲原
 梅雨明け前の7月下旬、朝から続いた雨がようやくやんだ。

 天然芝が広がる島根県奥出雲町の横田公園多目的広場で、白いウエディングドレスを着た女性とタキシード姿の男性を囲む一団が、「光が出てきた」と声を上げた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、結婚式が延期となったカップルのために企画されたブライダル撮影会。「一生の思い出が悪い思い出に変わってはいけない」。50人を招待して5月末に予定した結婚式を延期した出雲市内の女性会社員(30)は、駐車場の水たまりの前でカメラマンの指示に照れながら、人生の伴侶となった夫(32)の肩に手を添えた。

 結婚式のために、小枝をモチーフに友人が作った髪飾りを付けた女性は「やっと使うことができた」と破顔した。

 「悲しいままで終わらせたくない」

 2人の挙式を手掛ける予定の「今ココから」(出雲市白枝町)の三宅菜絵店長(23)は、新型コロナの感染が収まらない中で思案していた。自然を生かした演出を得意とする同社が4月から7月まで予定していた挙式の9割が、招待客の感染リスクを考慮するなどした結果、秋以降に延期になった。「泣きそうになるカップルもいて、どう声をかけてよいか分からなかった」と話す。

 思い立ったのが、「星空がきれい」な奥出雲町での写真撮影会。県外からも含めて7組が参加した。

 だが、またも行く手を遮るかのような雨。それでもめげない。チームを組んだカメラマンや美容院のスタッフと話し合った。雨を生かすために、文字や絵を描いたオリジナルの傘を用意し、相思相愛の雰囲気を出した。

 女性は「延期は悲しかったけど、楽しい時間を過ごすことができて、一生忘れられない日になった。こんな日をつくってくれたスタッフの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。

 夫婦は10月末、結婚式を予定している。

 雨ニモマケズ、新型コロナニモマケズ-。新緑から紅葉へと、季節が移り変わり、今度はどのような演出を考えていえるのか。三宅店長が「わくわくするような面白いことを計画中」と話したその表情は、輝いて見えた。

2020年8月14日 無断転載禁止