松江・サッカー部集団感染 封じ込め、時間との闘い

立正大淞南高校のサッカー部員が生活する陽光寮=10日午前9時半ごろ、松江市大庭町
 松江市の私立立正大淞南高校で異例の規模となる新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、島根県西部でも初めて感染者が確認された。地域には心配する声が広がる。自治体は感染拡大を食い止めようと対応を急ぎ、医療関係者は警戒感を強めた。

 高校の寮を中心とする巨大クラスターの発生を受け、松江市と島根県が封じ込め対策に追われている。異例の規模に膨らんだ集団感染の全容把握に向け、鍵となる感染者の行動歴の調査手法を見直し、検査態勢を増強して対応を急ぐ。

 市は10日、県からの派遣を含め、松江保健所で休日の相談対応などに当たる職員を通常(5人程度)の10倍近い48人に増員した。このうち、行動歴の調査は通常の2倍の15人が担当し、人海戦術で情報収集と接触者の洗い出しに全力を注ぐ。

 91人もの陽性反応が一度に出たことで、調査手法も改めた。感染者のうち、寮で生活するサッカー部員80人には、調査票を配り、直近2週間の行動や接触者、マスク着用といった感染予防策の有無などを記入してもらう方法を採用。個別に電話で聞き取る他の感染者への調査と並行して進めており、松江市の松浦正敬市長は「これだけの感染が1日で判明したことを非常に重く受け止めている」と話す。

 市からの依頼で、PCR検査の実務を担う県も最大限の態勢で臨む。

 県保健環境科学研究所(松江市)は通常、4人の研究員が1日当たり最大100人程度の検体を調べるが、9、10の両日は研究員7~8人を投入。午後5時15分だった検査の終了時刻を午後10時まで延長し、2日間で335人分の検査を行う「非常事態」モードで対応した。

 県薬事衛生課の田原研司課長は「濃厚接触者だけではなく、接触した可能性のある人を幅広く検査し、どれだけ感染が広がっているのか、広がっていないのか、早く把握することが大事だ」と指摘する。

 市中感染を食い止めるためには、何よりも調査と検査のスピードが求められる。膨大な数の感染者と接触した人を把握する作業は始まったばかり。前例のない規模のクラスター対策は時間との闘いになっている。

2020年8月11日 無断転載禁止