音楽トリビア26の秘密 秘密(9)鍵盤楽器

ピアノができる前からあり、弦をひっかいて音を出す仕組みになっているチェンバロ=松江市西津田6丁目、プラバホール
組み込こまれた音出すための“装置”

 鍵盤(けんばん)楽器とは、鍵盤を押(お)したりたたいたりすることによって、決められた高さの音が出る楽器ですね。皆さんがお持ちの鍵盤ハーモニカや、学校の音楽室にあるピアノ、アコーディオンに電子ピアノがおなじみではないかと思います。

 木琴(もっきん)や鉄琴(てっきん)は、鍵盤をバチで直接(ちょくせつ)たたくので、鍵盤打楽器と呼(よ)ばれています。

 それと違(ちが)って単に鍵盤楽器というときは、鍵盤から音の出るところの間に、仕組みや装置(そうち)があるものです。

プラバホールのステージに備われているパイプオルガン(中央)と、下に並ぶピアノ(左)、チェンバロ。同じ鍵盤楽器でも大きさの違いが分かる=松江市西津田6丁目
最古は紀元前3世紀ごろ

 歴史上(れきしじょう)一番古い鍵盤楽器は、鍵盤を押すとそれに対(たい)応(おう)する、長さの違うパイプに空気が送り込(こ)まれ、音の出る楽器です。今のパイプオルガンと同じ仕組みです。なんと紀元前(きげんぜん)3世紀(せいき)ごろに発明されたと伝えられています。その後15世紀ごろには、弦(げん)を発音体とするさまざまな鍵盤楽器ができ始めました。その代表的な楽器が、チェンバロです。

 17世紀ごろの楽器分類では、「鍵盤付き弦楽器」とされていたようですが、現代(げんだい)では、鍵盤から発音する弦との間に、装置が組み込まれているので、鍵盤楽器に分類しています。


弦をひっかく爪(矢印)の付いたジャック=筆者撮影(さつえい)

 チェンバロは、鍵盤を押さえると、ジャックと呼ばれる部品が上がる仕組みになっています。その上部に付いている鳥の羽の軸(じく)を爪状(つめじょう)に細工したものが、弦をひっかいて音を出すのです。言語(げんご)によって呼び名が違い、チェンバロはドイツ語、イタリア語ではクラビチェンバロ、英語ではハープシコード、フランス語ではクラブサンです。

小さな音 改良へ工夫

 その音は現代ではとても小さく感じると思います。でも録音(ろくおん)されたものでは、ボリュームを上げればいくらでも大きくなるので、生で聴(き)かないとその音の感じは分からないと思いますけどね。

 チェンバロは演奏(えんそう)に変化をつけるために、楽器にさまざまな工夫が凝(こ)らされていきました。鍵盤を2段(だん)にして、上下を弾(ひ)き分ければ、音の大きさや音色が変わるもの。音域(おんいき)を広げようと足鍵盤のあるもの。弦の上にある天板を、足ペダルで開(あ)け閉(し)めすることによって、音量の増減(ぞうげん)が調節できるようにするなど、それこそ一台一台違う楽器が手作りされていきました。

 しかし音が小さい上に、鍵盤の弾き方(タッチ)で、音への影響(えいきょう)がほとんどないので、音楽を表現するうえで不満を感じる人たちがいました。それで弾き方によって音が変わる楽器を作ろうと考えたのです。

 それが、18世紀の初めごろに作られ始めたピアノです。

 (プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

チェンバロの音が、下のQRコードで聴けるよ!

2020年7月22日 無断転載禁止

こども新聞