古くて新しい問題

 日本の新聞や雑誌、あるいは広告看板や案内板が並ぶ街中の風景が、外国人の目にはどう映るのだろう、と思うことがある。文字の種類の多さについてだ。漢字に平仮名、片仮名、ローマ字、アラビア数字、時にはローマ数字なども。これほど多様な文字を使う国は珍しい▼自国の文字として、中国由来の漢字に加え、漢字から生み出した平仮名と片仮名の3種類を使い分けているところが、日本語の特徴の一つ。その中で片仮名は外国の物事を伝えるのに重宝する。片仮名で書けば外国由来と分かる。島国が世界の情報を吸収消化し、発展するのに役立ってきたはずだ▼しかし何事も程度が大事。新型コロナウイルスに関して乱発される片仮名の専門用語には閉口する。命に関わるだけに、横文字が苦手なお年寄りも状況を注視する。英語をそのまま片仮名にされても困る▼当然読者から「記事に出てくる言葉の意味が分からない」と苦情が届く。報道機関として自制したいが、政府など発表元が使う以上、使わざるを得ない面もあり悩ましい。「日本語で言えることをわざわざ片仮名で言う必要があるのか」と苦言を呈す閣僚もいた▼古くて新しいこの片仮名語問題を受け、本紙社会面の片隅で小さな解説記事「一ゴ一会」を始めた。意味の理解はもちろん、外国との価値観の違いや片仮名語を安易に使う官公庁の姿勢などを考える機会にしてほしい。(輔)

2020年7月4日 無断転載禁止