製造業、雇用維持正念場 コロナで受注減長期化

受注減で休業を余儀なくされ、閑散としたフクテコの工場=松江市東出雲町下意東、同社
 新型コロナウイルスの影響を受けて島根県内の中小製造業者の受注減が長期化し、休業が増え始めている。雇用調整助成金の6月の申請件数で製造業は180件を超え、前月の2.6倍となった。従業員を休ませながら回復の時期を待つが、先行きは見通せず、雇用を維持できるかどうかの正念場を迎えている。

 「緊急事態は今からだ」。自動車部品用の工作機械を製造する清和鉄工(出雲市斐川町上直江)は6月中旬から金曜日を休みとする週休3日を一斉導入し、河本憲二常務は危機感をあらわにした。

 感染が拡大した3月以降、新規受注が半減。受注から納品までの期間が約半年あるため、昨年末までに受注した分の生産で工場の稼働を維持してきたが、6月からはそうもいかなくなった。

 この間、緊急事態宣言の移動自粛で国内の取引先からは訪問を断られ、売り上げの半分以上を占める海外への渡航もできず、営業の機会は完全に奪われた。河本常務は「リーマン・ショックの時はまだ動けたが、今回は手の打ちようがない」と吐露する。

 今後の生産状況によっては休業日をさらに増やす可能性もある。「今が苦しくても、受注が回復したときに対応できなくなる」と従業員75人の「大事な戦力」を守るため、雇調金の申請準備を始めた。

 島根労働局によると、製造業の雇調金申請は4月が2件、5月が71件、6月は26日時点で187件まで急増した。7月以降も申請の勢いが止まる気配はない。

 休業が想定より長引くケースも出ている。農機具など金属部品製造のフクテコ(松江市東出雲町下意東)は主要取引先の大幅な減産を受け、従業員30人の操業体制を5月から縮小し週3日程度の稼働が続く。売り上げは前年比約4割減に落ち込んだ。

 取引先から「減産計画は9月まで」と聞かされ、雇調金を活用してそこまでしのぐ覚悟だったが、6月に入り12月まで延ばすと連絡があった。

 リーマン・ショックの教訓で、万が一の事態に備えて積み上げてきた手元資金の余裕はまだある。ただ雇調金は新型コロナで助成率などを拡充した特例措置の期間が9月末までとされている。

 福頼弘樹社長は「9月までに回復の兆しがあればいいと思っていたのだが。特例が終わると負担が増えて確実にしんどくなる」とこぼした。

2020年7月4日 無断転載禁止