山のように陳列できない 土産物店、商品発注で悩み

在庫処分セールの商品を案内する本広保徳専務理事(右)=松江市殿町、島根県物産観光館
 「うちだけではないと思うが、相当なダメージ」

 松江城に近く、松江観光の一等地にある島根県物産観光館(松江市殿町)の本広保徳専務理事(62)は「5月の売り上げが例年比で9割減だった。昨年の利益を食いつぶして、なんとかやっている」と嘆く。

 同館は1階に菓子などの食品やベーカリーのほか、地元野菜も販売する。2階は陶器、石州半紙といった工芸品を扱い、隠岐地方や県西部の産品も取り寄せる。少しずつ観光客の姿が戻り、6月の売り上げは中元の電話注文も加わって例年比3割減まで縮んだ。

 ただ、店の様子は通常時とは異なる。商品の陳列棚には所々、何も置いていないスペースがある。

 「山のように陳列してある商品も今は半分以下だ」

 理由は二つある。新型コロナウイルスの影響で、土産物が売れないと踏んだ製造元が生産調整をしているケース。そして、同館側が発注数を抑えている商品もある。

 「バランスの取り方が難しい」

 土産物は、特に需要と供給が読みにくい。新型コロナが一息ついたと思えば、また首都圏で感染者が増加し、隣県でも確認された。

 菓子を中心に在庫がだぶつき、賞味期限の迫る商品が出てきたため「SOS企画 在庫処分応援セール!」と銘打ち、半額で売り出すコーナーを設けた。親戚と観光で訪れた福岡市の会社員、池田博之さん(49)は「土産物店が大変だという話はよく聞くが、頑張ってもらいたい」と、両手の袋をいっぱいにして同館を後にした。

 堀川遊覧船の航路近くにある塩見茶屋(同市北堀町)を運営する塩見茶舗の錦織雄一社長(52)も、売り上げは例年の8割減と厳しい現況を明かす。

 ぼてぼて茶などお茶の自社ブランド品や急須の通信販売で食いつなぐ。

 「ワクチンが開発されるまでは、安心して旅行に来る方は減る一方でしょう」

 観光客が土産物を求める、ありふれた風景が戻る日はまだ先だ。

2020年7月4日 無断転載禁止