女子ログ 古井戸の記憶

 幼かった昭和のかすかな記憶をたどると、大きなスイカを昔の人はうまく冷やしていたことがよく分かる。

 田舎にある親の実家には、昔使っていた古い井戸があった。そして、網に入れた大きなスイカをロープにつるして井戸水の中に漬けて冷やしていた。

 蛇口をひねって出てくる水道水はぬるいのに、なんで井戸水は冷たいのか、不思議でしょうがなかった。地下水の温度は地上の気温に関係なく年間を通じて一定していて、夏は冷たく、逆に冬はぬるく感じるんだという話を大人たちから聞いて「へえ~」と感心した。

 今にして思えば、ぜいたくな話だと思う。どんな大きなスイカでも冷やせるのだから。今の時季、スーパーに行けば旬のスイカが並んでいるが、うちのコンパクトな冷蔵庫には入りきらない。中を抜いてしまえば入るだろうが、スイカに冷蔵庫を占領されては、日々の料理に困ってしまう。

 井戸水が冷たいということを実感できるのも、体験を交えた理科の授業みたいだ。親の実家に行く機会はほとんどなくなり、子どもに同じような経験をさせられないのが残念だ。

 とりあえずは、冷蔵庫に入るくらいの大きさにカットされたスイカを買ってきて、旬を味わうとしようか。

(米子市・MIZU)

2020年7月3日 無断転載禁止