伝説の名馬

 競馬はよく「ブラッドスポーツ」と呼ばれる。最高峰のG1レースで優秀な成績を残した馬の血統を受け継いだ子どもたちが、同様にG1を制するケースが多いからだ▼最たる例が、鳥取県伯耆町にある競走馬のトレーニング施設「大山ヒルズ」で育ち、1カ月前の日本ダービーで優勝したコントレイル。デビューから無傷の5連勝で、15年ぶり7頭目となる無敗での皐月賞、日本ダービーの2冠制覇を成し遂げた。直近の15年前に達成したのが父ディープインパクト。名馬の子はやはり名馬なのか▼対照的なのが「芦毛(あしげ)の怪物」の異名を持ち、G14勝を挙げ、30年前に日本中を沸かせた伝説の名馬オグリキャップだろう。決して恵まれた血統ではなく、デビューも岐阜県の笠松競馬場だった。地方からはい上がって中央のエリートたちをなぎ倒す「サクセスストーリー」に、競馬ファンでもない筆者も胸を躍らせた▼ファンの間で今も語り草になっているのが1990年の有馬記念。前走2レースで惨敗し、限界がささやかれる中で迎えた引退レースで劇的な勝利。中山競馬場は駆け付けた17万人の「オグリコール」で揺れた▼引退後、種牡馬になった芦毛の怪物が放牧先の北海道で死んだのが、10年前のきょうのこと。25歳だった。その勇姿を懐かしく思うのは、東京一極集中が是正されず、地方と中央の格差がますます広がっているからでもある。(健)

2020年7月3日 無断転載禁止