実力と駆け引き

 14勝1敗-。大相撲の優勝力士の星勘定ではない。15年続くプロ野球のセ・パ交流戦でパ・リーグの勝ち越しを表した数字。昔から「人気のセ、実力のパ」と言われてきたが、ここまで力の差が広がった要因は、指名打者(DH)制にあるともいわれている。パと同様にセにもDH制を導入すべきかどうか。先日放送されたセ6球団監督によるテレビ座談会を見て、野球の楽しみ方を考えさせられた▼導入を強く主張したのは巨人・原監督。昨年の日本シリーズでソフトバンクに4タテを食らったトラウマからか「プライドをボロボロにされた。パにやられっぱなしなのに、なぜセはDH制に足踏みするのか」▼「強い選手を育てる意味ではDHに賛成」と中日・与田監督も続いたが、阪神・矢野、ヤクルト・高津両監督は「投手交代のタイミングという野球の妙味が失われる」と慎重▼「投手も打席に立つ」と広島・佐々岡監督が野球原点論にこだわれば、DeNA・ラミレス監督は「半々」などと意見が割れた▼力と力がぶつかり合うパの「直球型野球」と、駆け引きで試合の奥行きを楽しむセの「変化球型野球」。これまでの交流戦を通じて「力は駆け引きに勝る」は実証されているが、好みに応じる「一国二制度」も捨てがたい。その交流戦がコロナ禍で、今シーズンは中止となった。パの力勝負も、セの心理作戦もコロナに不戦敗が悔しい。 (前)

2020年6月29日 無断転載禁止