今こそ笑いが必要だ めおと漫才、出番心待ち

再び舞台に立つ日を待ち望む、よしこじゅんじ=松江市内
 「今こそ笑いが必要だ。みなさんの笑顔が見たい」

 松江市を拠点に山陰両県で活動する、めおと漫才師「よしこじゅんじ」。新型コロナウイルスの感染収束が見えず不安に包まれる時代、少しでも笑いで癒やしを届けたいと願うが、実際には何も動けないという、もどかしさに悩む。

 よしこじゅんじは、角純二さん(57)と西田由子さん(54)のコンビで2014年に結成。昭和の漫才を思い起こさせる雰囲気で、地域特性を取り入れた掛け合い、時事ネタなど、レパートリーの幅は広い。スローテンポのしゃべくり漫才は、高齢者を中心に根強い人気がある。

 「笑いで健康になってもらいたい」

 コンビ結成時からのモットーだ。漫才への覚悟は固い。

 ボケ役、じゅんじさんは「男女コンビは競合する相手がいない。残りの人生を漫才に費やしたい」と、長年勤めた印刷会社を昨年秋に退職した。山陰のオンリーワンとして、積極的な営業活動に動いていた最中に、感染が拡大した。

 繁忙期には毎日ステージで漫才を披露するほどだったが、新型コロナの流行とともに地域のイベントや行事が次々と中止に。3月13日を最後に、舞台には上がっていない。

 8月までの仕事はほぼゼロ。秋以降もイベント主催者が様子見状態で、出演依頼は届いていない。

 「新型コロナの行方の見通しが立たないことには不安しかない。人前に立ちたいけど、今、漫才は不要不急のジャンルでしょう」。よしこさんは現状を嘆く。

 何もしていないわけではない。じゅんじさんは「コロナにまけるな、笑って免疫力アップ」と題し、会員制交流サイト・フェイスブックで、ものまねや一発ギャグの投稿を続ける。閲覧者からは「笑いました」といったコメントの書き込みも少なからずあり、世の中は笑いを欲していると、ひしひしと感じる。

 「早く本物が見たい」「次はいつ来てくれますか」といったコメントも投稿される。2人は「ありがたいと思いながら、何もできないのが悔しい」と目を伏せる。

 よしこじゅんじはあくまで出演者だ。イベントなどの主催者から声が掛からなければ、2人がめおと漫才を披露する機会はない。

 「私たちは社会の動きと相手側の要望に合わせるしかない。でも、何よりもお客さんの笑っている顔を見たい」

2020年6月28日 無断転載禁止