10万円給付で追い風 山陰両県で高額品の販売好調

特別定額給付金の振り込みが始まり、販売が伸びている一畑百貨店の高級寝具=松江市朝日町、同店
 山陰両県の小売店で寝具や家電製品といった高額品の売れ行きが好調だ。「10万円が入ったから」。来店客の多くが、国の特別定額給付金を購買動機に挙げる。店側にとって商機到来だが、給付金は新型コロナウイルスの影響を受けた困窮世帯の家計支援の意味合いを含むため、前のめりのセールは打ち出しにくく、静かな商戦となっている。

 「給付金が入って初めて出掛けたので、何かぜいたくな物でも買おうと思って」。16日、一畑百貨店(松江市朝日町)で高級寝具を眺めていた松江市内の70代男性が笑顔で話した。

 政府が国民1人に一律10万円を配る特別定額給付金は、山陰両県の市町村で最も遅かった松江市の振り込み(郵送申請分)が5日に始まった。

 同店の寝具売り場は上旬から、ベッドやマットレスなど10万円を超える商品の販売が伸びている。来店客数は前年の約8割と戻りきっていないが、客単価の上昇で売り上げは前年並みを確保。販売員の久米里美さんは「お客との会話で『給付金で買い替えたい』という声を度々聞くようになった」と説明する。

 スポーツ用自転車を扱うジャイアントストア松江(同市中原町)は今月から徐々に客足が戻り、これまであまり見られなかった夫婦や家族連れの来店が増えた。来海洋文店長は「給付金と自粛生活の反動が追い風になっている」との見方を示す。家具販売のリビンズ山根(鳥取県米子市上福原4丁目)では、在宅時間が長くなり居住空間を見直す需要とも相まって、3~10万円のソファやベッドの売り上げが5月下旬から目に見えて伸びているという。

 ただ給付金を目当てにした、大々的なセールやキャンペーンは影を潜めている。ボーナス商戦を前に冷蔵庫やテレビ、エアコンなどの販売が前年の約2倍となっている100満ボルト松江本店(松江市乃白町)も売り場やチラシの広告に「給付金」の文字はない。

 給付金をめぐっては、新型コロナの感染拡大で収入が減った世帯への30万円から、10万円の一律給付に切り替わった経緯もある。同店の福間貴昭・家電アドバイザーは給付金効果を感じながら「生活費に充てる家庭も少なくない中、高額家電の購入チャンスとはなかなか言いづらい空気がある」と悩ましげに語った。

2020年6月24日 無断転載禁止