世事抄録 後悔先に立たず

 人生で後悔していることの一つにわが家の改築工事がある。大正初期に建築された母屋と別棟、倉庫で構成される家だ。家業の廃業を機に大黒柱や梁(はり)の構造が見られるように改築した。建築士が起こした図面を手書きで直し、要望しながら設計図を作ってもらい、ほぼ思いに近い形で竣工(しゅんこう)した。当時、家族誰もが満足していたと思う。

 結果論でしかないが、古い家を生かしながらの改築で費用が高くなったこと。知人の工務店だったので他の工務店との経費比較ができなかったこと。娘2人が将来嫁いでいく可能性が高く、住人が減るのに過大な改築をしたことなどが反省点だ。その結果、今この広い家に高齢化著しい3人が住み、いまだに家のローンを返済している。加えていろいろと補修が必要な時期も到来している。

 家を建てるという人生最大の投資を行うに当たり、課題点を整理せずに着工したことは自らの責任に帰すことだ。今の家を改築した方が良かったのか、職場のそばに土地を購入して建てた方が良かったのか、もっと経費を安くすることはできなかったのか、などなど立ち止まって先輩や専門家に相談し、検討すれば良かったと今さら思っても後の祭りである。なぜ、相談しながら決めなかったのか。明確な理由はなかったなぁ。誰かが強力に言ってくれたらなぁ。後悔先に立たずだ。

(雲南市・マツエもん)

2020年6月18日 無断転載禁止