音楽トリビア26の秘密 秘密(6)名曲

聴きいてとてもなじみやすい自然倍音

 前回、キーやピストンが発明される前の金管楽器は自然倍音(しぜんばいおん)しか演奏(えんそう)できないとお話ししましたね。きちんと音階が吹(ふ)けないからとても不便と思われるかもしれませんが、実はこの自然倍音、私(わたし)たちが聴(き)いて、とてもなじみやすい音の並(なら)びなのです。

 特にその中の、右上の図にある楽譜のような「ソドレミ」がすごいのです。皆(みな)さんが知っている曲の中にも「ソドレミ」で始まる曲がいっぱいありますよ。

ソドレミで始まる曲

 例えば、童謡(どうよう)・唱歌(しょうか)の「この道」「浜辺(はまべ)の歌(うた)」や「赤とんぼ」「かわいいかくれんぼ」「たなばたさま」「茶摘(ちゃつ)み」「シャボン玉」「ピクニック」に歌曲(かきょく)の「花の街(まち)」、アメリカ民謡(みんよう)「峠(とうげ)の我(わ)が家(や)」などなど。

 この中から「この道」が文末に付けたQRコードで聴(き)けるようになっているので試してみてくださいね。

 「ソドレミ」の「ミ」を半音下げると、短調になります。それで演奏できる曲も長調よりは少ないですが、「荒(こう)城(じょう)の月」「五(いつ)木(き)の子守歌」などがあります。

 続いて「荒城の月」も聴いてみましょう。 

 もちろんクラシック音楽にもたくさんあります。名前は知らなくても、多分どこかで聴いたことがあると思える名曲を集めてみました。出だしが聴けるようにしてありますので、聴いてみてくださいね。その中で特に、最初は短調で始まり、終わりに向かい長調になって素晴(すば)らしい効果(こうか)を上げている曲を紹介(しょうかい)しています。クラシック音楽は長いからこそ、こういう表現(ひょうげん)ができると思います。気に入ったら、ぜひ全曲を聴いてみてくださいね。

リヒャルト・シュトラウスの肖像画(マックス・リーバーマン作)
とっておきの“大名曲”

 さて今回、皆さんに紹介するとっておきの“大名曲”は、ドイツの作曲家で最後の巨匠(きょしょう)といわれるリヒャルト・シュトラウス(1864~1949年)の交響詩(こうきょうし)「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快(ゆかい)ないたずら」です。交響詩とは、オーケストラで物語を語ろうと作られたもので、14世紀のドイツにいたとされるいたずら者を題材にし、「昔々あるところに…」という感じで始まって、ちゃめっ気たっぷりな主人公を表す旋律(せんりつ)がホルンで奏(かな)でられます。

 この旋律が「ソドレミ♭(フラット)→ミ(ナチュラル)」に自然倍音をうまく組み合わせたものです。最初の約30秒(びょう)を聴けるようにしたので、聴いてくださいね。全曲通しても演奏時間は15分ぐらいです。CDで聴くなら、オーストリア出身の名指(し)揮(き)者(しゃ)ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏(※)がお薦(すす)めですよ。

 (プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

 (※)カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏によるCDは1970、80年代に録音(ろくおん)された2種がユニバーサルミュージックから発売されています。

2020年6月10日 無断転載禁止

こども新聞