それでも「密」で

 単身赴任中の東京から山陰へ帰省できない現状を言い表すと、「つらい」の一言だ。身動きも取れず、コロナ禍でストレスはたまるばかり。運動不足解消も兼ねて大型連休前からランニングを再開した。南千住から浅草に向かい、自粛要請でシャッターが下りた仲見世を抜けて東京スカイツリーへ▼続けていると町の変化が分かる。緊急事態宣言発令から1カ月後の7日以降、歩行者が明らかに増え、飲食店も開店。それを「緩み」とは切り捨てられない。経営も人の心も限界がある▼全国の宣言は全て解除されたが、予断を許さない状況は続く。ソーシャルディスタンス(社会的距離)ありきの「3密」を避ける日常。感染防止に効果はあるだろうが、「食事は横に並び、会話は極力避けて」と言われても▼取材もオンラインや電話が主体に。いざ始めると、移動時間の短縮を含めて効率的な面も多い。だが、人と向き合うからこそ得る「手応え」は薄い▼コロナが強制的に「密」を解き、無駄を省いた。当分は密である必要性や意味が今まで以上に見直されるが、排除したくない。オンラインとの適度な組み合わせを見つけるのも新しい日常の課題だ。そういえば大型連休中、友人とオンラインで飲み会を開いた。話題は尽きず、密でなくともこれはこれで十分楽しい。でもやっぱり膝を突き合わせたい-。通信を終え、余韻に浸るより先にそう思った。(築)

2020年5月26日 無断転載禁止