鉄フライパンで食を豊かに 島根の職人がセット製作

フライパンセットを手に「職人も使う人も笑顔になってほしい」と話す小藤宗相さん=安来市広瀬町布部、鍛冶工房弘光
 島根県内の工芸職人が作るフライパンセットが、口コミで人気が出ている。鉄のフライパン、取っ手、鍋敷き、収納バッグ、たわしの一式で、鍛冶工房弘光(安来市広瀬町布部)の小藤宗相さん(49)が仲間に呼び掛け製作。おうち時間が増える中、食卓をより豊かにするアイテムとして注目されており、小藤さんは「職人の技術や島根の魅力を発信したい」と意気込んでいる。

 手掛けるのは小藤さんのほか、革の取っ手が伊藤大介さん(松江市・hibi)、ろくろの鍋敷きが浜田幸介さん(松江市・浜田工房)、組子の鍋敷きが沖原昌樹さん(浜田市・吉原木工所)、石州和紙の収納バッグが西田勝さん(浜田市・西田和紙工房)、専用たわしが高田尚紀さん(和歌山県海南市・高田耕造商店)の5人。

 今月1日から会員制交流サイト(SNS)で発信し販売。県内や東京から20件以上の注文があった。鉄製フライパンは空焼きなどの手入れが必要だが、強火調理に向き長持ちする。購入者は食に関心が高い30、40代の女性が多く「肉がよりおいしく焼ける」「時間と手間がかかる分、気持ちにゆとりが生まれる」との感想が寄せられたという。

 新型コロナウイルスの影響を受け、工芸の作り手も展示会の中止や受注減で厳しい状況に置かれる。半面、時間にゆとりができ、小藤さんは以前から要望があったフライパンの製作に2月下旬、着手した。

 持ちやすい、焦げ付かないといった機能性の追求に試行錯誤したが、発見も多く、意欲をかき立てられた。購入者に長く愛着を持って使ってもらうため、取っ手や鍋敷きなどのセット販売を思い立ち、県内外の職人5人に声を掛けた。

 客層が広がり、新商品開発につながった職人もいるといい、小藤さんは「職人も使う人も、少しずつ幸せを感じ合えたらうれしい」と喜ぶ。これを機に島根産の農産物にも関心を持ってもらえるよう、紹介文を添える準備も進めている。

 価格2万2千円。フライパンは直径約21センチ。鍋敷きはろくろか組子を選ぶ。問い合わせは鍛冶工房弘光、電話0854(36)0026。

2020年5月24日 無断転載禁止