2期マイナス成長/長期化前提に構え築こう

 内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で実質3.4%の減少だった。新型コロナウイルスの感染拡大で国内外ともに3月ごろから経済活動が急速に縮小したためで、昨年10~12月期(7.3%減)に続き2期連続のマイナス成長となった。

 政府による正式認定は先になるが、日本が深刻な景気後退局面に入ったことはほぼ間違いあるまい。昨年10月の消費税増税で元々景気が弱含んでいたところへ、コロナ禍が痛撃となった。

 感染が急拡大し全国に緊急事態宣言が出された4月以降は、消費者の外出自粛や飲食・小売店の休業などで経済活動は「停止」とも言える状態になった。このため民間のエコノミストらは、今後発表される4~6月期の実質成長率が年率で20~30%程度の減少と未曽有のマイナスに陥ると予測している。

 この危機にまず政府がやらねばならないのは、企業の倒産・廃業を抑え、雇用と家計収入を守る政策の総動員だ。

 国民一律で10万円の現金給付をはじめ最大200万円の事業者向け給付金など、4月にまとめた緊急経済対策と補正予算の執行には一刻の猶予も許されない。

 政府はその上で、5月下旬をめどに雇用調整助成金の拡充や事業者への家賃支援などの追加対策をまとめる方針だ。ここでも当然、実行のスピードが求められる。

 他方、企業や家計では、中長期的な視野で今後の対応策を考えておきたい。新型コロナのワクチンや治療薬の開発には、まだ時間がかかるためだ。

 外出自粛や休業が必要なくなるとしても、感染を防ぐための行動・生活様式は当面継続する。GDPの6割近くを占める個人消費は人々の行動変化の影響を避けられず、これは海外も同様だ。内外需とも常態に戻るのはかなり先とみるのが自然で、企業も家計もそれを前提に今後の構えを築く必要があろう。景気の「V字回復」は可能性が低いと見た方がよい。

 具体的に企業では、業種による適否はあろうがインターネットを通じた販路確保や顧客対応の充実が重要になる。実店舗は営業短縮や休業をしていても、ネット経由で売り上げを確保できるからだ。

 製品や部品の調達先を広げる多角・分散化も進めたい。製造業などでは調達先の分散化でコストが上昇する恐れはあるが、感染拡大の第2波、第3波を想定して事業継続のために取り組みたい。調達先を海外から国内へ回帰させる選択肢もあるだろう。

 そして、今回の危機を企業、個人ともに働き方を見直す前向きな契機としたい。

 通勤自粛が求められ多くの企業がテレワークを実施した結果、出社せずとも可能な業務が明確になる副産物をもたらした。今後、在宅勤務を含む柔軟な働き方を取り入れることで、通勤時間ゼロによる仕事の効率化や長時間労働の緩和を実現できるはずだ。

 その際に大切なのが企業や政府による支援である。自宅のネット環境整備やパソコン購入費を補助したり、政府が税制面で優遇したりすべきだ。

 テレワークをはじめ業務のデジタル化に大きな障害となる押印の商慣習も、官民が協力してこの際一掃したい。

2020年5月20日 無断転載禁止