結婚式の延期か中止、選択を迫られる夫婦

結婚式当日に受付に掲げる予定だった手づくりのウエルカムボード。23日の開催はかなわなかった=出雲市内
 「半年以上かけて準備してきた。8割方決まっていたのに…」

 島根県出雲市塩冶町に住み、ともに会社員で24歳の夫婦は今月23日、市内で予定していた結婚式のキャンセルを余儀なくされた。式場側と式の打ち合わせをほぼ終え、あとは食事メニューを決めれば、人生の門出を迎えられるはずだった。

 4月上旬、新型コロナが猛威を振るい、急きょ式場側からキャンセルを申し出る連絡が舞い込んできた。北は仙台から南は福岡まで、再会を楽しみにしていた大学時代の友人、晴れ姿を見せたかった親戚など約50人に招待状を送ったばかりだった。

 「もしもコロナが感染したら責任が持てない」

 2人は手分けして招待者全員に連絡を入れ、丁重にわびた。

 「仕方ないね」

 時節柄、みんなが理解してくれた。

 延期か。中止か。2人は見通しが立たず、頭を抱えている。延期を選んだ場合、一体いつごろが適当なのか分からない。式場側は、早く振り替えの日程を決めてほしいと求めてくるが、決めたところで状況によって、また延期になるかもしれない。二度も招待者にキャンセルの連絡をしたくない。

 2人は共働き。式について悩む時間はあまりない。このまま日程が決まらず、ずるずると先延ばしにしていくと、出産やマイホームの購入など「ライフプランの見通しが立たなくなってしまう」と嘆く。

 だからといって半年以上も心血を注いで準備してきた結婚式を簡単に「中止」と決めきれない。大枚をはたいて購入したオーダースーツは袖を通すことなく、ハンガーに掛けたまま。ウエルカムボードも手作りし、日付までしっかりと書いたが、無駄になってしまった。

 延期にすれば追加費用はかからないが、再び準備に追われることになるだろう。中止だと、労力はなくなるが、前払いした手付金が戻ってこない。

 男性は「式場側は打ち合わせに時間を割いてくれたし、友人や親戚は楽しみに待ってくれている」と少しだけ延期に心を傾けたが、「今後の生活のこともあるし、本当にどうしたらいいか分からない」と思い悩む。

2020年5月10日 無断転載禁止