おもしろサイエンス(1) いま何時? 時計を持ってないよ!

影の長さや猫の瞳でおよその時刻分かる

 古代ギリシャ時代の喜(き)劇(げき)の中に次のような文章があります。「自分の影(かげ)の長さが10歩の長さになったら、野(の)良(ら)仕事を止め、身体に香(こう)油(ゆ)を塗(ぬ)って、食事に行くように望む」。これは、季節や場所によらず、日(にち)没(ぼつ)まで大体1時間くらい前になります。これなら、暗くなる前におうちに帰れますね。

猫目時計(図1)
 昔の日本には、猫(ねこ)目(め)時計というものがありました(図1)。これは、忍(にん)者(じゃ)も使っていたもので、猫の目の開き具合で時(じ)刻(こく)を知るものです。昼間明るい時には目が細くなり、暗くなると目が大きく開きます。

 天気が悪い日や夜には太陽が見えません。でも、みなさんの体の中にも時計がありますよ。心(しん)臓(ぞう)のドキドキは大体1秒に1回ですし、息を吸(す)ったり吐(は)いたりは大体3秒に1回です。ハッピーバースデーの歌は大体15秒です。爪(つめ)の伸(の)びる速さ(10日で約1ミリ)や、髪(かみ)の毛の伸びる速さ(1か月で約1センチ)も覚えておくとよいでしょう。

 でも、みなさんは腕(うで)時計やスマホなど、時間を知る道具を持っていると思います。時々、時(じ)刻(こく)を合わせると思いますが、「より正しい時計」とはなんでしょうか? 現(げん)在(ざい)、もっとも正しい時計は、セシウムという原(げん)子(し)の振(しん)動(どう)を利用した原子時計という時計です。

図2
 今から20年ほど前、日本で「光(ひかり)格(こう)子(し)時計」という時計が発明されました(図2)。これは、セシウム原子時計の千倍も精(せい)度(ど)が高い時計です。いまではこの時計が世界中に広がっており、10年後にはこれが世界の標(ひょう)準(じゅん)になるといわれています。





安田(やすだ)正美(まさみ) 産総研計量標準総合センター時間標準研究グループ長
安田(やすだ)正美(まさみ) 産総研計量標準総合センター時間標準研究グループ長

■略歴

 1971年生まれ。仁(に)摩(ま)小、仁摩中、大(おお)田(だ)高校卒。93年東京大学工学部卒。95年東京大学大学院修(しゅう)士(し)課(か)程(てい)修(しゅう)了(りょう)。98年東京大学大学院博(はく)士(し)課程修了(工学)。米国・イェール大学博士研究員、東京大学助手を経(へ)て、2005年より産業技(ぎ)術(じゅつ)総(そう)合(ごう)研究所計量標準総合センター勤(きん)務(む)。

2020年4月30日 無断転載禁止

こども新聞