音楽トリビア26の秘密 秘密(3)フルートとクラリネット

同じ木管楽器でも音の出し方に違い

神田寛明さん=プラバホール提供(ていきょう)
 前回、木管五重奏(もっかんごじゅうそう)には、金管楽器のホルンが入っていることをお話ししましたが、皆(みな)さんの知っているフルートは金属(きんぞく)の管で作られていませんか。でも、なぜか木管楽器の仲間に入っています。どうしてだと思いますか。

 元々、木をはじめ、象牙(ぞうげ)など自然界のさまざまなもので作られていたのが、後で金属管に改良された、ということも理由の一つです。

 ですが、今の管楽器の分類の仕方が、楽器の材質(ざいしつ)ではなく、音を出す方法によっているからなのです。

 くちびるを振動(しんどう)させて音を出す管楽器を金管楽器とし、それ以外は木管楽器に分類されています。


松本健司さん=プラバホール提供(ていきょう)
 さて、右上の写真を見てお気付きのように、NHK交響楽団(こうきょうがくだん)首席フルート奏者の神田寛明(かんだひろあき)さんが持っている楽器の色は、黒ですね。なんと金属管でなく、木管なのです。首席クラリネット奏者の松本健司(まつもとけんじ)さんが持つクラリネットと同じアフリカ原産(げんさん)のとても堅(かた)い「グラナディラ」という木で作られています。水に入れたら、沈(しず)むほど重い木なんですよ。皆さんが聴(き)き慣(な)れている金属製(せい)のフルートとは一線を画しています。





リードのないフルートの歌口=筆者提供
 フルートは、ほぼ円形の歌口(うたぐち)の「角」に息を吹(ふ)き当て、音を出します。でもすぐには音は出ません。息のスピードや角度など、さまざまな工(く)夫(ふう)が必要だからです。皆さんの吹いているリコーダーは、フルートと音の出る仕組みは同じです。でもリコーダーは、フルートの歌口の「角」にあたる「エッジ」にいい角度で息が当たるように作られているので、すぐに音が出るのです。


クラリネットのリード付きマウスピース=筆者提供
 一方、クラリネットは木管五重奏で使われている楽器の中では一番歴史(れきし)は浅いのです。なので、できることがとっても多く、他の管楽器を補(おぎな)う守備範囲(しゅびはんい)がすごく広いのです。音がやわらかく目立たないかもしれませんが、非常(ひじょう)に重要な役割(やくわり)を果たしているのです。

 音の出し方は、フランス産の葦(あし)を材料とした小さく薄(うす)い弾力性(だんりょくせい)のあるリードを1枚(まい)、マウスピースに付け、くわえて息を吹き込(こ)みます。これもリードを振動させるための力加減(かげん)が慣れるまでは、難(むずか)しいですね。





 前回お知らせした通り、残念ながら5月31日の演奏会とクリニック(実技講習(じつぎこうしゅう))は、延期(えんき)となりました。そこで、最後にクイズを一つ。フルートとクラリネット、見た目では分かりにくいですが、管の形に秘密(ひみつ)の共通点があるんです。それは一体なんでしょう。答えは次回でね。

(プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

2020年4月30日 無断転載禁止

こども新聞