世事抄録 汚れちまった令和日本

 猪突猛進の亥年最終盤から永田町は大荒れだ。消費増税10%による経済ダメージが予想をはるかに上回り、長期政権は「桜を見る会」騒動、カジノを含むIR汚職、そして伊藤詩織さん性暴力事件に連打されて立ち往生している。だが世間は正月ボケで追及意識がリセットされ、「野党は他にやることがあるはず」などと煙に巻かれ始めているのではないか。

 特に5年越しの詩織さん事件について、加害者で総理と親密なテレビ局元記者の逮捕状を官邸筋が握りつぶした疑惑を知らない人が多い。民事訴訟で追撃した詩織さんが師走の一審判決で全面勝利したのに、日本のマスコミが音なしのせいだろう。対照的に世界最古の創刊を誇る英タイムズ紙は「安倍の伝記作家が後輩をレイプ」と批判。権力がらみの#MeToo(ミートゥー)事件に対する欧米メディアの視線は厳しく、海外の人ほど詳しい逆転現象が起きている。

 確かに複雑な経緯は、日頃“半径3メートル”の生活圏にうずくまる中高年の視界に入りにくいかもしれない。ネット社会に順応できる若者層も好みの情報に偏り、政治に無関心な傾向がある。また総理ヨイショ本を書いたテレビ局記者が当事者という、マスコミ現場の微妙な変調を伴っているからやっかいだ。いきなり汚れちまった令和日本。十二支が再起した新年だからこそ、一からモヤモヤを晴らしてほしい。

(松江市・風来)

2020年1月9日 無断転載禁止