師走の失敗

 カレンダーが残り1枚になった。もう、きょうから師走。台風の時季が過ぎると、時の経過に加速度がつく。時代が令和に変わった今年は特にだ。気ぜわしい1カ月が始まる。台風や大雨被害が尾を引く地域の師走は、もっと大変だろう▼これからは何かとやることが多い。暖房器具や防寒着の用意はもちろん、年賀状の準備や大掃除、天気予報をにらんだ冬用タイヤへの交換。歳暮、おせち料理をどうするのかも早めに決めなくてはいけない。まさに「うしろから 追はるゝような 師走哉」(子規)だ▼ボーナスやクリスマスの時期を控えて街中は人も車も多くなり、週末は用事を済ませるのに、普段よりも時間がかかる。子どもの頃には心が弾んだ「ジングルベル」の響きも、近年は追い立てられるように聞こえる。いっそ映画でも見に行きたいのだが、配偶者の動き方を見ると、言いだしづらい▼無駄な時間を削って「時間貯蓄銀行」に預けると利子で長生きできると「時間泥棒」がだますミヒャエル・エンデ(独)の児童書『モモ』を引き合いに、ゆっくり過ごす時間の大切さを口実にすれば、と作戦を練る。が、屁理屈(へりくつ)にしか聞こえないか▼例年、年越し準備が終わる頃になって、どこか温泉にでもという話になる。ただその頃には手頃な宿はどこも予約でいっぱい。毎年のように繰り返す師走の失敗だ。「来年こそ」と、今年も思うのか。(己)

2019年12月1日 無断転載禁止