芸術と科学

 クラシックギター演奏が得意な鳥取市の深沢義彦市長は大学時代、物理学を専攻したという。その市長が先日、小学校で音楽の出前授業をした際に「子どもの頃、好きな教科は音楽、理科、算数だった」と話すのを聞き「やはり芸術と科学は何か関連があるのか」と以前からの疑問が再び頭をもたげた▼芸術的な感性と科学的な分析は補い合うものなのだろうか。双方の分野で才能を発揮したレオナルド・ダビンチは芸術と科学の融合を唱え、解剖して人体の仕組みを学ぶなど科学的知識を生かして絵を描いた▼相対性理論で知られる物理学者アインシュタインは音楽好きでバイオリン演奏がうまかったらしい。「私は音楽のように考える」とも語ったという。これがひらめきの秘密だったのか▼漫画家の故・手塚治虫さんは医師免許を持ち、ピアノ演奏が得意だった。作曲家ベートーベンを描いた作品「ルードウィヒ・B」にはバッハの音楽を可視化した描写がある。音符や擬音を描くのではなく、ブロックを組み合わせたような立体物を描いて表現している。芸術と科学を融合できる天才の頭の中が少しイメージできた▼「芸術が心を豊かにする」というのは単に気分が良くなるだけでなく、創造力の源泉になるという意味なのだろう。筆者は音楽、美術は鑑賞専門で、科学は知って好奇心を満たすだけ。感性や分析を磨いて記事に生かしたいものだ。(志)

2019年11月7日 無断転載禁止