スクラムユニゾン

 一流のスポーツ選手ほど自国の国歌に誇りを持っている。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の準々決勝で、SH流大(ながれゆたか)選手は試合前に込み上げる感情を抑えきれず、目に涙をためて国歌を斉唱した。熱心に歌う選手が多いほど試合に勝つ確率が高くなるとのデータもあるという▼W杯では、国歌による日本流のおもてなしが海外選手やファンを感動させた。発案者は元日本代表主将の広瀬俊朗さん。出場国の国歌を肩を組み歌う「スクラムユニゾン」プロジェクトとしてカタカナ読み付きで動画配信した。「気持ちが通じ合えばレガシー(遺産)になる」との狙いだ▼ウェールズ代表がキャンプ地の北九州市で行った練習で、1万5千人がアンセム(祝歌)「ランド・オブ・マイ・ファーザーズ」をウェールズ語で合唱し、選手や母国のファンは「アンビリーバブル」と称賛した。マスコットキッズが選手と共にアンセムを歌う場面は共生社会を象徴する今大会のハイライトでもある▼言葉が通じなくても琴線に触れるおもてなしは日本人の真骨頂。東京五輪を控え、予行演習になっただろう▼W杯はきょう決勝を迎える。イングランドの国歌は伝統の「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」、人種隔離政策の対立を乗り越えた南アフリカは民族和解を願い、5言語から成る。それぞれの国家観や、人と人をつなぐ歌の力をかみしめテレビの前で口ずさもうか。(玉)

2019年11月2日 無断転載禁止