個人情報が丸裸になったら

 ネットで買い物をすることはめったにないのだが、たまに本を購入することがある。書店に注文しても早くて1週間はかかる。ネットなら新品とたがわぬ古本が安く、早く入手できて便利だ。本屋で背表紙を見て手に取り、ぱらぱらと内容を読んで購入するのが好きなので、地元の本屋をもっぱら利用するのだが、背に腹は代えられないときもある▼その結果-。「購入した作者の新刊が出ました」「こんな本が読まれています」とウェブ広告が次々掲載される。同様に興味がある広告を開くと当分、同じような分野の広告が画面に出てくる。ターゲティング広告というそうだ▼気持ちが悪い。誰が自分の好みを把握し、そのデータを利用しているのか。先月には、就職情報サイトを運営する会社が、就職活動中の学生について「内定を辞退する確率」を、さまざまな個人情報から人工知能(AI)で予測し、本人への十分な説明なしに企業へ販売していたことが明らかになった▼人生を左右する就職で、自分のデータが関知しないところで企業に流れて、合否に影響していたとしたら大変だ。ネット利用で吸い取られた膨大な個人データを分析することで、嗜好(しこう)や行動などが把握され、個々人にレッテルが貼られたら…▼便利さと引き換えに個人の「秘密」を渡しているのかもしれない。自分に貼られたレッテルを、見ることも訂正もできない。怖い。(富)

2019年9月12日 無断転載禁止