偽薬効果

 「ビタミンC2千ミリグラム配合」と「ビタミンCがレモン100個分」。疲労回復のため、サプリメントを買おうとすればどちらを選ぶべきか。2千ミリグラムと言われてもぴんと来ないが、レモン100個分はすごい。食べ切れないほどのレモンの栄養分を凝縮して摂取できますと薦められると、そちらの方を購入したくなるだろう▼実際はビタミンCの量はどちらも同じ。中身は変わらなくても、表現の仕方で消費者の購買行動を誘う心理作戦が健康食品ビジネスには仕掛けられている。島根大医学部で臨床研究に取り組んでいる大野智教授によると、こうした心理効果にはいくつかのタイプがあるという▼定番は利用者の体験談だが、大学教授や医学博士などが「これは有効です」とコメントする「権威拝借型」が加わると、効果は大きくなる▼さらに「今、大人気」に流されやすい追っかけ型や「50代女性の7割が利用」とターゲットを絞り込んだ同調圧力型。どれもよく見かけるが、本当に効くかどうか見分けるにはどうすればいいか▼やっかいなのは偽薬効果の存在。薬と信じて飲めば中身がメリケン粉でも病状が改善することがある。思い込み効果なのか、本当に成分が効いているのか、どっちつかずの灰色のケースも。「サプリメントをやめて体調が悪くなったら、効いている証拠」と大野教授。でもそれでは使ってみなければ分からないし。(前)

2019年9月11日 無断転載禁止