さんいんきらめく星 月の海と高地 

月の高地の石(左)と海の石。海の石は9月29日まで展示
 二つの石で分かる異なる地質

 以前、大(おお)田(だ)市の三(さん)瓶(べ)自然館サヒメルで月の石を特別に展(てん)示(じ)しているとお知らせしました。一時期、月の別の場所で採(さい)取(しゅ)された石も展示していました。その石は、今も展示している黒っぽい石と違(ちが)い、白い石でした。この二つの違いは何なのでしょうか。

 月を見ると、明るく光る中に少し暗い模(も)様(よう)があります。月の「海」と呼(よ)ばれる部分で、よく「ウサギの餅(もち)つき」に見えるといいますね。昔、月に隕石(いんせき)が次々とぶつかって、地下からあふれ出た溶岩(ようがん)が地表に広がり、冷え固まって形作られました。薄(うす)暗く見えるのは、玄(げん)武(ぶ)岩(がん)という黒い岩石でできているからです。

 現在(げんざい)展示されている石がこれで、1971年、「雨の海」の周辺から宇(う)宙(ちゅう)船アポロ15号の宇宙飛行士により持ち帰られました。33億4千万年前にできた石であることが分かっています。

 海以外の明るい部分は「高(こう)地(ち)」と呼(よ)ばれます。こちらは海ができるより前からあった月の大地です。はじめどろどろに溶(と)けていた月で、軽い成分が表面に浮(う)かび固まってできたといわれています。地球ではあまり見られない斜(しゃ)長(ちょう)岩(がん)という白い岩石でできています。

 一時展示されていた白い石は1972年のアポロ16号により「デカルト高地」で採集された岩石の一部で、44億年前にできたものです。月が誕(たん)生(じょう)したのが46億年前ですから、月の歴(れき)史(し)の中でも本当に初期のたいへん古い石といえます。

 つまり、二つの石の色の違いは、海と高地という月の異(こと)なる地(ち)質(しつ)を表しているのです。そして、これら月の石が地球に持ち帰られ、分析(ぶんせき)されたことにより、月の歴史が詳(くわ)しく分かるようになりました。

 13日は中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)です。ぜひ月をながめ、その月から届(とど)いた貴(き)重(ちょう)な石も今月のうちにじっくりと見てもらえればと思います。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2019年9月4日 無断転載禁止

こども新聞