女子ログ 幸福な神楽

 ノンフィクション作家の野村進さんが山陰各地を探訪したルポ「どこにでも神様 知られざる出雲世界をあるく」を遅ればせながら読んでみた。石見神楽の事がべたぼめだと聞いたので、興味が湧いたのだ。

 野村さんは石見神楽の盛り上がりぶりを大絶賛している。大みそかの夜に神楽が舞われ、老若男女が集う様子に接し、NHKの紅白歌合戦よりも、住民は神楽の方を楽しんでいると驚いているのだ。

 子どもにとって大ベテランの舞い手は、かっこいいヒーローだし、イケメンの舞い手は女の子たちのアイドルだと、野村さんは指摘されている。

 地元の事をこんなに褒めてもらうと、背中がむずがゆいが、やはりうれしい。住んでいると当たり前のことで、別段気にしてはいないのだが、言われてみれば確かにそうだ。

 それに、東京から来た野村さんにとっては、子どもからお年寄りまで一緒になって同じ舞台を心から楽しむ光景は、今の都会にはないのだろう。

 私も東京や大阪に行けば、足を運びたくなるコンサートや舞台はたくさんある。それはそれで楽しい。でも本を読んであらためて気付いたのだが、神社の境内にみんなが集まって、同じ舞台を楽しめるっていうのは今の時代、なかなかない幸福なことだと思う。

(浜田市・ピオーネ)

2019年8月20日 無断転載禁止