レッツ連歌(下房桃菴)・8月8日付

(挿絵・麦倉うさぎ)

◇ ヒサユキさんの「近況」はどんな近況なのか。付句の内容は、ふつう具体的なほうがよいのですが、この場合は、具体的でない分、読者の想像をかき立てます。

 笑子さんの句も同じく同窓会を詠んだものと見ましたが、こちらは「記念樹は…生い茂り」という表現で、同窓生それぞれの、さまざまな人生を暗示して、これも味わい深い作品となりました。

 由美さんの、人それぞれの「食」生活―。「餃子(ぎょうざ)」ということばを、よく我慢して伏せられました。初心者は、余計な説明をつい入れたがるものです。

 もう一つ、「~派」ということば―。ふつう、たとえば「改憲派」とか「護憲派」とか、政治的な文脈で使うことが多いのですが、「焼くだけ派」「家で包む派」「皮から派」―、これにも私はびっくりしました。

 由美さんは、初投句でご入選かと思いますが、これまでにそうとう勉強なさいましたか。それとも、天賦の才能ですか。

 同じ浜田の陽子さんからは、7月から中央新報を購読させていただきます。

「レッツ連歌」に出合い、ず~っと続いていることに感動しました。桃菴先生のお歳は?という、涙のこぼれるようなお言葉も頂戴しております。

 その他にも今回は、新人のかたの投句が目立ちました。しばらくお休みになっていたかたからも名作が寄せられました。

 それもこれも、「応援団」のおかげであろうと感謝しております。いま一度、あらためてお礼申しあげます。

人それぞれの生活がある

二千万君はあるのに俺はない       (出雲)吾郷 寿海

三ケ月口も利かないシェアハウス  (沖縄・石垣)多胡 克己

高級品はかり並んでいるバザー     (松江)山崎 まるむ

真夜中にヘッドホンして弾くピアノ    (出雲)岡  佳子

おもむろに朝刊届く島の午後     (隠岐の島)朝垣 多世

きょう食べる野菜を作るだけでいい    (松江)水野貴美子

朝抜きで昼飯軽く夜は酒         (出雲)有藤 晴幸

近況を聴いて驚く同窓会         (出雲)放ヒサユキ

記念樹は背丈を越えて生い茂り      (松江)森  笑子

改札を流れ出ていく大都会        (松江)持田 高行

高齢の親が養う自己破産         (浜田)勝田  艶

友人の孫は息子と同級生      (沖縄・石垣)多胡 克己

焼くだけ派家で包む派皮から派      (浜田)酒井 由美

お疲れと声かけあって別れ行く    (出雲)はなやのおきな

なぜ物価上昇しなきゃいけないの     (松江)安東 和実

どうするのハッキリしてよ消費税     (浜田)青木 陽子

ときどきは闇営業もせにゃならぬ     (出雲)行長 好友

年金をアテに生きてる老夫婦       (松江)持田 高行

年金は貯蓄に回す富裕層         (益田)石川アキオ

ノックして様子うかがう子供部屋     (浜田)勝田  艶

学校に行かない道を探りつつ       (益田)石田 三章

いましたよこんなところに日本人     (美郷)芦矢 敦子

朝寝する友に合わせてする電話      (浜田)松井 鏡子

晴着みなコメに替わった終戦後      (松江)花井 寛子

返信がすぐに来ないと腹を立て      (益田)黒田ひかり

我が子でも結婚すれば遠慮する      (松江)澄川 高子

フレンチのシメはやっぱり梅茶漬け    (美郷)尾原 典子

   ◇

 次の前句は、

  うわさがうわさ呼ぶが世の中

 平凡な内容ながら、おもしろいリズムになったと、自分では満足しています。

 五七五の句を付けてください。

   (島根大名誉教授)

2019年8月8日 無断転載禁止

こども新聞